梅路見鸞

梅路見鸞 - 弓道と禅の融合者

梅路見鸞（うめじ けんらん）は、1892年に大分県で生まれ、1951年に亡くなった弓道家であり、無影心月流の創始者です。彼の本名は山本寿六とされていますが、一部の説では日出夫とも言われています。

禅と武道の修行

梅路は大変若い頃から武道に親しみ、特に9歳で円覚寺に入寺し、以後24歳まで釈宗演から禅を学びました。その間に彼は、弓術だけでなく、柔道、剣道、居合道、馬術など、幅広い武芸を修行しました。また、書道や浄瑠璃、俳句、茶道などの芸道にも卓越した才能を持っていました。特に書道では日下部鳴鶴に師事し、優れた腕前を披露しました。

無影心月流の誕生

大正5年に梅路は橘流弓術の32代目である羽賀井和順と出会い、わずか2年後には33代を継ぎます。これにより、事実上無影心月流を設立することとなります。彼は武道と禅の調和を追求し、独自の弓術「弓禅一味」を提唱しました。彼の理念は、弓道の精神的な側面を強調し、心の静寂と集中力が弓の技術において重要であるとしました。

弓道の発展

梅路は1934年に『武禅』と題した雑誌を創刊し、弓道の精神と技術を広める努力を続けました。彼の教えは、当時の弓道界において神道や儒教、真言密教など、他の思想と結びつきながら発展していきました。特に、大正後期から昭和初期にかけて、梅路以外にも多くの指導者たちが弓道と禅の関係性を探求しましたが、彼の思想はその中でも特筆すべきものとなりました。

エピソードと伝説

梅路の名は、数々の伝説によっても知られています。ある時、彼は27間、約50メートル離れた場所にある3寸の的を二本連続で射抜き、見ていた人々は驚愕しました。誰かが「人間業ではない」と言ったところ、梅路はただ一言「もちろん」と答えたと伝えられています。また、冬の朝、門弟たちが屋外で稽古をしていた際、流儀の動作を一部省略して矢を放った瞬間、梅路は家の中からその失敗を見抜き、「馬鹿！ なんという様だ！」と一喝したという逸話も残っています。

さらに、未だ信じがたいエピソードも多く、支えなしで立てた竹を斜めに切り上げて門松を作ったり、矢の棒の部分でネズミを真っ二つにした話など、彼の技術の高さを物語っています。

参考文献と影響

梅路見鸞についての詳しい情報は、甲野善紀著『武術の新・人間学』や中西政次の『弓と禅』のような参考文献に記されています。彼の教えは今も多くの門弟たちによって受け継がれており、弓道の精神的な側面を強調する彼の思想は、現代においても多くの人々に影響を与え続けています。

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