梨 (作家)

梨（なし）は、主にインターネット上で活動する日本の怪談作家であり、別名としてPear_QUという名義も使用しています。その作風は、日常に潜む怪異や民間伝承を巧みに取り入れ、読者に恐怖だけでなく、不快感や気味の悪さを残すことを目指している点に特徴があります。

インターネットでの活動開始

幼少期に都市伝説「八尺様」に触れたことがきっかけで、ネット怪談の世界にのめり込みました。その後、2ちゃんねるオカルト板などのスレッドに自作の怪談を投稿するようになり、作家としての活動を本格的にスタートさせました。

SCP財団での活躍

2015年には、共同創作サイト「SCP財団」の日本支部にPear_QU名義で登録しました。特に2020年に投稿した『SCP-511-JP - けりよ』や『しんに』は、2022年時点で100を超える高評価を得るなど、同サイト内でも高い評価を獲得しています。また、SCP財団7周年記念の「嘘のコンテスト2020」では、著作『攀縁』がTale部門総合評価2位に輝きました。

オモコロでの活動

2021年1月には、自身のnoteに投稿した『瘤談』がインターネット上で話題となり、株式会社バーグハンバーグバーグ主催の「オモコロ杯 2021」で銀賞を受賞しました。これを機に、同社が運営するWebサイト「オモコロ」にも記事を投稿するようになり、活動の幅を広げています。

その他の活動

2021年には、竹書房主催の「怪談最恐戦2021」朗読部門で、梨の作品『滲む写真』を朗読した136(イサム)がグランプリ作品賞を受賞しました。2022年には、ComicWalkerで連載開始された漫画『コワい話は≠くだけで。』の原作を担当するなど、漫画分野でも活躍しています。
さらに、同月には自身初の単著となる『かわいそ笑』が発売され、ウェブライターの雨穴が推薦コメントを寄せるなど話題を呼びました。

作風

梨の作品は、日常生活の中に潜む怪異をテーマにすることが多く、日本の民間伝承や都市伝説を巧みに取り入れた作風が特徴です。また、作品には実在の文献を引用したり、作中に登場する人物のSNSアカウントを実際に作成するなど、現実世界と怪談をリンクさせることで、読者に「対岸の火事ではない」と感じさせるような工夫が凝らされています。作品制作においては、恐怖感よりも、気持ち悪さや不快感を残すことを重視しており、「音の響き」を特に意識していると述べています。

作品リスト

書籍

単著

『かわいそ笑』（イースト・プレス、2022年）
『6』（玄光社、2023年）
『自由慄』（太田出版、2024年）
『お前の死因にとびきりの恐怖を』（イースト・プレス、2024年）
『ここにひとつの□はこがある』（KADOKAWA〈角川ホラー文庫〉、2024年）

共著

『その怪文書を読みましたか』（梨×株式会社闇、太田出版、2023年）
『つねにすでに』（梨×株式会社闇、ひろのぶと株式会社、2024年）
『行方不明展』（梨×株式会社闇×大森時生、太田出版、2024年）

寄稿

「亥の子石」『実話怪談 犬鳴村』（竹書房、2021年）
「trimmed file.png / 403 Forbidden」『早稲田文学 2021年秋号』（早稲田文学、2021年）
「滲む写真」『怪談最恐戦2021』（竹書房、2021年）
「村上の日記帳」『Quick Japan vol.164』（太田出版、2022年）
「LOGGED IN」『怪と幽 vol.013 2023年5月』（KADOKAWA、2023年）
「民法第961条」『ジャンル特化型 ホラーの扉 八つの恐怖の物語』（河出書房新社、2023年）
「聖化」『GIRLS CONTINUE Vol.12』（太田出版、2024年）
「知客/鹿/賜暇/篩過/紙価/視禍」『ホラークリエイターズファイル 視禍』（玄光社、2024年）
「【不思議】合唱中に謎の声が聴こえる!?音楽史に残る不思議な話「天使の声」について解説【恐怖】.mp4」『異形コレクションLVIII メロディアス』（光文社、2024年）

編著

『5分後に取り残されるラスト』（河出書房新社、2024年）

漫画原作

『コワい話は≠くだけで。』（漫画：景山五月、KADOKAWA、2022年 - 2024年）
『漫画版 6』（漫画：古河コビー、構成：峰博士、玄光社、2024年）
『SCPって何ですか？』（漫画：三山高・ハチフン、一迅社、2024年 - ）

その他

『ジャパン・ホラーの現在地』（集英社、2024年）吉田悠軌との対談などを収録
「正しいモキュメンタリ―・ホラーのつくりかた」『小説新潮 2024年8月号』新潮社、2024年

映像

テレビ番組

『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか？』（BSテレ東、2022年）
『祓除 事前番組』（テレビ東京、2023年）
『祓除 事後番組』（テレビ東京、2023年）
『行方不明展』（テレビ東京、2024年）

MV

キタニタツヤ「素敵なしゅうまつを！」
キタニタツヤ「摘果」

イベント

ライブイベント

『滑稽』（テレビ東京、ワタナベエンターテインメント、2023年）
超学生 2nd ONE-MAN LIVE「入学式」（2023年）
『祓除』（テレビ東京、2023年）

展覧会

『その怪文書を読みましたか』（株式会社闇、2023年）
『広島展』（2023年）
『大阪展』（2024年）
『博多展』（2024年）
『横浜展』（2024年）
『行方不明展』（株式会社闇、テレビ東京、ローソンエンタテインメント、2024年）

ウェブコンテンツ

MEM閉運セミナー（DMMオンラインサロン）
『つねにすでに』（株式会社闇）

関連事項

日本の小説家一覧
怪奇小説作家一覧

外部リンク

梨 (@pear0001sub) - X（旧Twitter）
梨が書いた記事 - オモコロ
* 梨の著者ページ - SCP財団

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