梶の葉

梶の葉（かじのは）

梶の葉とは、カジノキの葉を図案化した日本の家紋の一つであり、特にカジノキの葉をモチーフにしたものを指します。また、梶の葉は神紋としても使用されています。

概要

梶の葉は、元々はコウゾの葉を図案化した「楮紋（こうぞもん）」と区別されていましたが、形状が似ているため、後に梶紋としてまとめられました。梶紋には、カジノキの花を図案化した「梶の花」もあります。

梶の葉は、柏の葉と同様に古くから食器として使用され、その後、神に供物を捧げるための器としても用いられるようになり、神職の間で広まりました。

文様としての初見は、『吾妻鏡』に記された武田信義の夢の話に登場する、「梶葉文の直垂を着た武士」とされています。この記述から、梶の葉の文様が武士の間でも用いられていたことがわかります。

現代では、諏訪神社が神紋として使用しているほか、江戸時代には諏訪氏をはじめとする大名や幕臣が家紋として用いました。また、苗字に「梶」の字を持つ家でも使用されることがあります。

由来

梶の葉紋の由来は、平安時代末期の源平合戦に遡ります。諏訪神社上社の神官の妻が、夫の使者として甲斐源氏の武将の陣を訪れた際、夢の中で梶の葉紋をつけた葦毛の馬に乗った武士が源氏方として西を指して鞭を揚げたのを見ました。この夢を、諏訪大明神の啓示であると解釈したことが、梶の葉紋が広まるきっかけとなりました。

この出来事以来、梶の葉紋は諏訪神社を中心に信仰する氏子に広まり、神紋または家紋として浸透しました。特に、諏訪神社の大祝である諏訪氏と金刺氏は、諏訪梶の葉を家紋として使用し、諏訪氏の庶家や氏子は、立ち梶の葉、丸に立ち梶の葉、鬼梶の葉などの派生紋を採用しました。

鎌倉時代以降、諏訪氏が執権北条氏の御内人となり、その影響力により諏訪神社が各地に建立され、諏訪信仰が広まるにつれて、梶の葉紋も広く知られるようになりました。

図案

梶の葉の図案には、以下のような種類があります。

立ち梶の葉：梶の葉を一枚描いた最も基本的な図案です。
鬼梶の葉：立ち梶の葉の葉の端を尖らせた図案で、力強さを表現しています。
三つ立ち梶の葉：三枚の梶の葉を組み合わせた図案で、諏訪氏が使用しました。
平戸梶の葉：肥前松浦氏が使用した図案で、独自の形状を持っています。

これらの図案は、それぞれ異なる意味や歴史的背景を持っており、梶の葉紋の多様性を示しています。

脚注

梶の葉は、日本の歴史と文化に深く根ざした文様であり、神紋や家紋として様々な形で使用されてきました。
諏訪信仰との関わりが深く、諏訪神社を中心に広まったことが特徴です。
多様な図案が存在し、それぞれに歴史や意味が込められています。

関連項目

諏訪大社
諏訪神社
諏訪氏
平戸藩
七夕

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