棚橋正博

棚橋正博：近世文学研究の第一人者

棚橋正博氏は、1947年生まれの日本近世文学研究者です。秋田県秋田市出身で、早稲田大学文学部卒業後、同大学院文学研究科日本文学専攻修士課程を修了。1995年には早稲田大学より「江戸戯作文藝の研究」で文学博士の学位を取得しています。

その後、帝京大学文学部に講師として着任し、助教授、教授を歴任しました。帝京大学退職後は、研究活動に専念されています。

近世後期戯作研究の第一人者

棚橋氏の専門は、近世後期戯作、特に滑稽本や黄表紙です。これらに関する膨大な研究成果を世に送り出し、近世文学研究に大きな足跡を残しています。代表的な著書として『黄表紙総覧』全3巻、『式亭三馬集』、『黄表紙の研究』などがあります。『黄表紙総覧』は、黄表紙研究の基礎文献として高く評価されており、長年にわたる綿密な調査に基づいています。さらに、式亭三馬や山東京伝といった江戸時代の著名な戯作者に関する研究も精力的に行っています。これらの研究を通して、近世日本の社会風俗や文化を多角的に解明することに貢献しました。

辞典編集への貢献

学術的な研究活動に加え、棚橋氏は、多くの辞典編集にも参加しています。例えば、小学館の『日本国語大辞典』や『大辞泉』、『古語辞典』などの編集に携わり、国語学の発展にも貢献しています。専門分野である近世語に関する知識・経験が、これらの辞典編集において大きな役割を果たしたことは間違いありません。

多様な著作活動

棚橋氏の著作は、専門的な研究論文にとどまりません。一般読者にも分かりやすい文章で書かれた、近世日本の生活や文化を紹介する一般書も多く執筆しています。例えば、『江戸名所隅田川 絵解き案内』、『江戸の道楽』、『教科書が載せられない名文 江戸時代の再発見』などは、広く一般読者から高い評価を得ています。これらの著作は、近世日本の歴史や文化への関心を高め、より深く理解する上で役立っています。また、単著以外にも、多くの編著書や校訂にも携わっており、近世文学研究における多様な役割を担っていることが分かります。

受賞歴

1987年には、窪田空穂賞を受賞しています。この賞は、近世文学研究に多大な貢献をした研究者に対して贈られる賞であり、棚橋氏の研究の質の高さを示すものです。

まとめ

棚橋正博氏は、近世後期戯作研究における第一人者であり、その業績は近世文学研究に多大な貢献を果たしています。専門的な研究活動に加え、一般書や辞典編集への参加など、多様な活動を展開することで、近世日本の文化を広く一般に伝える役割を果たしています。その研究活動は、これからも日本の近世文学研究において、重要な指針となるでしょう。

もう一度検索