棚瀬襄爾

棚瀬 襄爾の業績と生涯

棚瀬 襄爾（たなせ じょうじ、生年1910年2月22日 - 死亡1964年12月10日）は、日本を代表する民族宗教学者であり、アジア地域の研究において重要な役割を果たしました。彼の生涯は、学問への情熱と貢献で満ちています。

初期の生活と教育

岐阜県本巣郡に生まれた彼は、旧制大垣中学校を卒業後、第三高等学校へ進学し、文科甲類を専攻しました。続いて東京帝国大学の文学部宗教学科に入学し、1934年に卒業。大学院進学後も研究を続け、1936年には修了しています。

学問の道

卒業後の1938年、彼は千代田女子専門学校で教授として教鞭を執りながら、東亜研究所の所員としても活動を開始しました。しかし、1941年に応召され、中国での出征に向かうこととなります。彼は漢口で終戦を迎え、その後1946年に復員するまでの間、戦争の厳しい現実を体験しました。

戦後の活躍

戦後は、1947年11月に帝国女子専門学校で講師として教える一方、1949年に龍谷大学の教授に就任。さらに、1959年からは京都大学の助教授に昇進し、教育界での地位を確立しました。1961年には、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ビルマ、タイ、シンガポールおよびマラヤ連邦への6か月間の外国視察の旅に出発し、その成果をもとに1962年には学位論文『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』を提出し、文学博士号を取得しました。

研究センター設立と晩年

1963年には京都大学東南アジア研究センターの設立が行われ、彼も計画準備委員会の幹事として重要な役割を担いました。センター設立後は、特にマレーシア地域の研究においてリーダーシップを発揮しました。彼の研究は、民族宗教や社会構造についての深い理解を促進し、後の学者たちに影響を与えました。

突然の死

しかし、在職中の1964年12月10日に狭心症により急逝しました。彼の死は多くの人々による惜しまれる声を引き起こし、その影響力は現在もなお続いています。

著作

彼の著書には日本語の著作が多数あり、特に民族宗教学に関するものが多く、また『Judith Djamour: Malay kinship and marriage in Singapore』という英語の書籍も発表しています。これらの著作は、彼の学問的な探求心と洞察力を反映しています。

まとめ

棚瀬襄爾は、日本における民族宗教学への道を切り開いた学者であり、その葬送が1965年に行われた際には、多くの人々が彼の偉業を称えました。彼の研究は、アジア地域の民族文化や宗教的側面を理解する上で、今もなお重要な資料として存在し続けています。

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