棟方志功記念館

青森の文化拠点、棟方志功記念館：その歴史と閉館

青森県青森市松原に所在していた棟方志功記念館は、木版画作家棟方志功の芸術と生涯を後世に伝えるために1975年11月に開館しました。青森県と青森市をはじめとする関係各所の協力により設立され、一般財団法人棟方志功記念館が運営に当たっていました。

記念館は、池泉回遊式庭園と見事に調和した校倉造りの建物が特徴的でした。館内には、棟方志功の代表作である『釈迦十大弟子』をはじめ、数多くの版画作品が展示されていました。それ以外にも、倭画、油画、書など、多様な作品が展示され、特に初期の代表作品を数多く収蔵していたことが大きな魅力でした。

棟方志功自身の意向を尊重し、展示室は広さを抑えた設計となっていました。来館者がじっくりと作品と向き合える空間を演出することで、質の高い鑑賞体験を提供していました。しかし、年間4回程度の展示替えを実施することで、多様な作品群を常に紹介し、来館者の興味を刺激し続けていました。

2012年には、鎌倉市にあった棟方板画館と合併し、497作品1112点を収蔵。これにより所蔵作品数は1900点余りに増加し、国内有数の棟方コレクションを誇るようになりました。

記念館周辺には、平和公園や東奥学園高等学校、NHK青森放送局といった施設が立ち並び、文化的な雰囲気が漂っていました。かつては隣接地に青森市民図書館もありましたが、青森駅前の再開発に伴い移転しました。

しかし、近年は新型コロナウイルス感染症の影響による入館者数の減少や、施設の老朽化が課題となっていました。そのため、2023年度をもって閉館することが理事会と評議員会で決定されました。

アクセス方法と閉館後の動向

棟方志功記念館へのアクセスは、青森市営バスやJRバスを利用することができました。青森駅や新青森駅からも、シャトルバス「ねぶたん号」が運行されており、比較的容易にアクセスができました。

閉館後、記念館の収蔵品は全て青森県立美術館に移管されました。これにより、棟方志功の作品は新たな場所で保存・展示され、より多くの人々に鑑賞される機会が提供されます。一方、記念館の建物と庭園については、自治体による活用策の検討が進められています。

記念館の記録と関連施設

棟方志功記念館では、これまで多くの出版物を発行し、その歴史や作品について記録を残してきました。『棟方志功記念館20年のあゆみ』、『生誕100年記念 棟方志功記念館 収蔵作品図録』、『棟方志功記念館40年のあゆみ』など、記念館の歴史と活動を知る上で貴重な資料となっています。

国内には、棟方志功記念館以外にも多くの版画美術館が存在します。町田市立国際版画美術館、小野忠重[[版画館]]、たでのはな美術館、福島県立美術館、佐渡[[版画村美術館]]などは、版画芸術に関心のある方にとって興味深い場所でしょう。また、海外の美術館、例えばアルベルティーナなども、版画作品を所蔵する重要な施設です。

棟方志功記念館は閉館しましたが、その存在は青森市の文化史に大きな足跡を残しました。そして、そのコレクションは新たな場所でその輝きを放ち続け、多くの人々に感動を与え続けるでしょう。青森県立美術館での展示にも注目が集まります。

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