森コンツェルン

森コンツェルン

森コンツェルンは、実業家である森矗昶によって創始された、日本のコンツェルンの一つです。満州事変以降の軍需景気を背景に、電気化学工業を中心に急速に成長しました。最盛期の昭和16年頃には、直系14社、傍系6社を擁する巨大な化学工業コンツェルンへと発展し、日本の15大財閥の一角を占めるまでになりました。

歴史

森コンツェルンは、当時まだ日本国内での工業化が遅れていた硫安やアルミニウムなどの事業にいち早く着手し、国産技術による製造に成功しました。この点が、コンツェルンの大きな特徴です。森矗昶は、味の素の創始者である二代目鈴木三郎助に招かれ、電力・化学会社に関与したことから、戦前は味の素グループとも密接な関係がありました。また、安田善次郎が創始した安田[[財閥]]や川崎八右衛門が創始した川崎財閥などとも、金融面で深い繋がりを持っていました。

しかし、第二次世界大戦後の財閥解体によって、森コンツェルンは解散を余儀なくされました。ただし、系列企業の一部は解体後も存続し、昭和電工（現レゾナック・ホールディングス）や日本冶金工業などが現在も事業を継続しています。

関連企業

森コンツェルンの中核を担った主な企業は以下の通りです。

持株会社: 森興業（1922年設立、社長：森矗昶）
電力会社: 姫川電力、太川電力、中央電気[[工業]]、磐城電気、大日向電気、東信電気（傘下に昭和肥料、信濃水電）
鉱業会社: 志太鉱業、昭和鉱業、樺太炭業
化学・繊維会社: 日本電気工業、昭和人絹、昭和火薬（現・日本工機）

その他、他社との合弁会社として、日本加里工業、日本肥料、昭和炭酸などが存在しました。

現在の主な関連企業

昭和電工（現レゾナック・ホールディングス）: 化学製品メーカー。森コンツェルンの主要企業の一つ。
日本冶金工業: ステンレスメーカー。森矗昶が創業。
味の素: 化学調味料メーカー。戦前、森コンツェルンと関係があった。
UACJ: スカイアルミニウムを前身とするアルミニウム圧延メーカー。森コンツェルンの流れを汲む。

社会貢献

森コンツェルンは、戦前から教育分野への投資も積極的に行っていました。工場内に青年道場を設置して人材育成に努めたほか、玉川学園の創立者である小原國芳の要請に応じて学生を受け入れるなど、教育への貢献を重視していました。また、森矗昶と森曉が創立に関与した千葉[[工業大学]]には多額の出資を行い、産学連携の教育活動にも参加しました。興亜工業大学が戦後千葉県に移転した背景には、森家の意向と支援があったとされています。

関連する財閥

森コンツェルンは、以下の財閥と関係がありました。

安田[[財閥]]、川崎財閥: 財政的に強い繋がりを持っていました。
日産コンツェルン: 化学工業分野での事業で協力関係にありました。

森コンツェルンは、短期間で日本の主要なコンツェルンへと成長し、日本の工業化に大きく貢献しました。その精神は、現在も多くの企業に受け継がれています。なお、現在の東京都心部で著名な不動産デベロッパーである森ビル・森トラストとは直接的な関係はありません。

もう一度検索