森万紀子

森万紀子 (もり まきこ)

森万紀子（1934年12月19日 - 1992年11月17日）は、昭和期の日本の小説家であり、本名は松浦栄子でした。

生涯

森万紀子は、1934年に山形県酒田市で開業医の家庭に生まれました。高校時代は、歌手の岸洋子と同級生でした。1953年に山形県立酒田東高等学校を卒業後、スーパーマーケットなどに勤務しました。その後、神戸や東京で英語学校に通い、社外校正の仕事に従事するかたわら小説を執筆しました。

1965年、「単独者」で文學界新人賞佳作を受賞し、同作は芥川賞候補にもなりました。その後も、「距離」(1965年)、「密約」(1969年)、「黄色い娼婦」(1971年)と、計4回芥川賞候補となりましたが、受賞には至りませんでした。しかし、「内向の世代」における女性作家の代表として、その文学的才能は高く評価されました。

1980年には、長編小説『雪女』で泉鏡花文学賞を受賞しました。幻想的な作風が特徴でしたが、厭人癖が激しく、埼玉県三郷市のみさと団地に独居中、孤独死しているのが発見されました。1992年12月の文芸家協会ニュースの会員訃報によると、「11月17日に亡くなられたと、このほどご遺族から連絡があった」と報じられました。

作品の特徴

森万紀子の作品は、幻想的な雰囲気が漂う作風が特徴です。人間の内面を深く掘り下げ、孤独や不安、そして人間の心の闇を描き出しています。その作品は、読者に深い感動と共感を与え、多くの読者を魅了しました。

著書

『密約』 新潮社 1970
『黄色い娼婦』 文藝春秋 1971
『緋の道』 文藝春秋 1976
『風の吹く町』 集英社 1977.3
『雪女』 新潮社 1980.4
『運河のある町』 講談社 1985.5
『跫音』 福武書店 1988.2
『囚われ』 文藝春秋 1989.2
『悪運』 近代文藝社 1992.11
『吉田知子・森万紀子・吉行理恵・加藤幸子』（女性作家シリーズ）角川書店 1998

参考文献

* 高橋光子『「雪女」伝説 謎の作家・森万紀子』 潮出版社 1995.11

森万紀子の作品は、現代社会における人間の孤独や疎外感を鋭く描き出しており、その文学的意義は今日においても高く評価されています。

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