森川嘉一郎

森川 嘉一郎（もりかわ かいちろう）

森川 嘉一郎は、1971年生まれの日本の建築学者であり、現代日本文化の研究者です。彼は明治大学の国際日本学部で准教授を務めており、主に意匠論を専門としています。日本建築学会にも所属し、建築及び都市のデザインに関する理論的・実践的研究を行っています。

経歴

森川は父親の職業の影響で、ロンドンを含む世界各地で生活をしていました。そのため、国際的な視野を持つようになったのかもしれません。彼の高校時代には漫画研究部に所属し、漫画制作やプラモデル作りといった趣味を育んでいました。この趣味が影響を与え、大学で建築を学ぶきっかけにもなりました。また、建築学科での授業ではパース（透視図）を描いたり、模型を製作したりすることができると知り、その点に魅力を感じたのです。

彼は1995年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、1997年には同大学の大学院で修士課程を修了しました。その後、博士後期課程に進学しながらも、早稲田大学の理工学総合研究センターで助手や客員研究員などを経て、2003年には桑沢デザイン研究所の特別任用教授となりました。

2004年、彼はイタリアのヴェネツィアで開催されたヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展の日本館展示においてコミッショナーを務め、展示タイトル「おたく：人格＝空間＝都市」を掲げた企画を立ち上げました。この展覧会は、同年の第44回日本SF大会で星雲賞の自由部門を受賞するなど、高く評価されました。

主要な著書

森川は数多くの著書を著していますが、特に彼の2016年に並び称されることになった『趣都の誕生-萌える都市アキハバラ-』は、その後に精神科医の斎藤環から「21世紀の暫定名著」に選ばれました。この本は、日本のオタク文化とそれが育まれた都市空間の関係性を探る内容となっています。さらには、彼のその他の著書として『エヴァンゲリオン・スタイル』や、国際交流基金と共著での『おたく：人格＝空間＝都市』などもあり、幅広いテーマに取り組んでいます。

彼は2008年に明治大学に新設された国際日本学部の准教授に就任し、翌年には彼が中心となって推進した「米沢嘉博記念図書館」が開館しました。この図書館はオタク文化に関する資料を集めた特異な施設として、多くの支持を受けています。

展覧会と活動

森川は2018年には「MANGA⇔TOKYO」展のキュレーターを務め、日仏外交160周年記念の公式企画として成功を収めました。日本文化や都市に関する彼の視点や研究は、特定の文化背景に捉われない、普遍的な価値を持っています。

森川嘉一郎は、建築学および日本文化研究において、非常に影響力のある人物であり、今後もその活動に注目が集まるでしょう。彼の研究は、現代の日本社会における文化的な側面を考察する重要な示唆を提供しています。

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