森忠徳

森 忠徳（もり ただのり）について

森忠徳は、播磨国赤穂藩の10代藩主であり、赤穂藩森家の16代目の当主です。彼の生涯は、政治的な混乱や財政的な難局に彩られており、さまざまな改革が試みられたものの、最終的には多くの困難に直面しました。

生い立ちと藩主就任

文化15年（1818年）3月24日、忠徳は赤穂藩の9代藩主である森忠敬の三男として誕生しました。忠敬の逝去後、家督は長兄の森忠貫が継いでいましたが、文政10年（1827年）には早熟な死を迎えました。忠貫は子供を持たなかったため、藩は藩主の名が失われることを恐れ、忠徳を彼の後継として擁立しました。このような背景から、彼は記録上では文政7年（1824年）に家督を継いだことになっています。

藩政期の課題と財政改革

天保3年（1832年）、忠徳は従五位下・信濃守に叙位されましたが、若年であったため、分家の森主税家の家老である森可真が実際の藩政を執行しました。彼は藩の財政を立て直そうと試みましたが、天保の大飢饉によって状況は悪化しました。可真は商人に借金返済の延長を求めましたが、これが逆効果を生み、大坂城代に訴えられる事態となってしまいます。そして、天保9年（1838年）には彼の改革も失敗に終わり、藩主としての地位を失いました。

次に、森采女家の家老である森三勝が藩の実権を握ることになります。彼もまた倹約を基にした政策を試みましたが、嘉永2年（1849年）までに藩の借金は27万両に達し、再度の失政を経験しました。これにより藩政改革も失敗し、失脚することとなりました。

その後、森続之丞家出身の家老の森可則と勘定奉行の鞍懸寅次郎が新たに改革を試みましたが、藩主の忠徳が病弱であったため、長男の忠弘が名代として藩政を行いました。しかし、忠弘が急死すると可則らは可真に追放され、以降赤穂藩は可真の専横に陥ることとなります。

晩年と死去

文久2年（1862年）1月21日、忠徳は次男の忠典に家督を譲り、隠居生活に入ります。彼は明治14年（1881年）12月27日に64年の生涯を閉じました。

系譜と家族

忠徳の父は森忠敬、母は酒井忠実の娘である東姫です。正室には酒井忠嗣の娘がいます。また、彼には2人の息子がいました。次男の忠典と三男の忠儀（忠典の養子）です。忠徳の晩年には、他に継室として小笠原長昌の娘や、継々室として牧野貞幹の娘がいました。一方、長男の忠弘や他の子女についての詳細は不明な部分が多いです。

森忠徳の治世は、藩の政治や経済について深い影響を及ぼし、同時にその波乱に満ちた経歴は後に語り継がれることとなります。藩の改革や家族の歴史は、彼の存在とともに赤穂藩の一部として記憶されています。

もう一度検索