森本・富樫断層帯

森本・富樫断層帯について

森本・富樫断層帯は、石川県の河北郡津幡町から金沢市を経て白山市に至る、全長約26kmに及ぶ活断層帯です。この断層帯は、金沢平野の東縁に沿って北北東から南南西方向に延びており、東側が隆起する逆断層です。

断層帯の構造

森本・富樫断層帯は、北から森本断層、野町断層、富樫断層という3つの主要な断層と、それらに付随する撓曲によって構成されています。主断層は東に傾斜しており、断層面は地表に達しています。断層面の傾斜角度は40〜60度と推定されており、地震発生層の下限を15〜20kmと仮定すると、断層面の幅は17〜31kmと推定されます。

特筆すべき点として、この断層帯の西側には、西傾斜の逆断層である砺波平野断層帯西部が、また北側には東傾斜の逆断層である邑知潟断層帯が分布しています。

断層の活動

森本・富樫断層帯は、中期更新世以降、平均して1000年あたり1メートルの上下変位速度で活動を続けています。この変位速度は、断層帯の中央部、金沢市街地付近で最大となっています。

過去の調査から、約1600〜2000年前には主断層の活動に伴う副断層の変位が確認されており、また、1800〜1900年前の地層には液状化現象の痕跡が見られます。これらのことから、断層帯の平均活動間隔は1700〜2200年程度と推定され、最新の活動時期は1600〜2000年前と推定されています。現状、地震発生後経過率は0.7〜1.2と計算されています。

断層帯全体が同時に活動した場合、マグニチュード7.2程度の地震が発生する可能性があり、その際には石川県と富山県で最大震度6強の揺れが発生する可能性があります。

1799年金沢地震との関係

1799年に発生した金沢地震（M6.0±1⁄4）は、森本断層付近から野町撓曲付近にかけて被害が大きかったとされています。この地震が森本・富樫断層帯の活動によるものだとする説もありますが、地質学的な証拠は確認されていません。また、地震の規模が断層帯全体が活動した場合の想定よりも小さいことから、1799年の地震は断層帯の一部が活動した非固有地震である可能性が指摘されています。

被害想定

金沢市が発表した被害想定では、冬の朝5時に断層帯が活動した場合、金沢市内で死者2,566人、負傷者11,489人に及ぶとされています。避難者数は、冬の18時に発生した場合が最も多く、短期避難者193,659人、長期避難者71,559人に達すると予想されています。

まとめ

森本・富樫断層帯は、過去に地震を引き起こしており、将来も地震発生のリスクがあります。この断層帯の活動による地震は、周辺地域に甚大な被害をもたらす可能性があるため、十分な注意が必要です。地震への備えを怠らず、常に最新の情報に基づいて行動することが重要です。


参考文献
石川県 森本断層系「森本 富樫断層帯」に関する調査 平成7年度 平成8年度地質調査研究交付金成果報告会予稿集, 40-43, 1997, 科学技術庁, NAID 10007195330
東郷正美、池田安隆、今泉俊文 ほか、「森本-富樫断層帯の詳細位置と活動性について」 『活断層研究』 1998年 1998巻 17号 p.72-83, doi:10.11462/afr1985.1998.17_72, 日本活断層学会・活断層研究会

関連情報
日本海東縁変動帯
新潟-神戸歪集中帯

外部リンク
森本・富樫断層帯 地震調査研究推進本部
金沢平野東縁活動セグメント 産業技術総合研究所

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