逸見千代子

逸見千代子博士：日本の鉱物学を牽引した先駆者

逸見千代子博士（1949年-2018年）は、日本の地球科学、とりわけ鉱物学分野において卓越した業績を残した研究者です。1949年、鉱物学者として名高い逸見吉之助博士を父に持ち、幼い頃から鉱物学に親しんだ環境で育ちました。その才能は岡山県立岡山朝日高等学校卒業後、岡山大学理学部、そして同大学院理学研究科へと進学する中で開花します。

大学院修了後、東京大学においてゲーレン石後退変質に関する研究で理学博士の学位を取得。これは彼女の研究人生における重要な一歩となりました。博士号取得後、岡山大学理学部地球科学科准教授として教鞭を執り、後進の育成にも尽力しました。

逸見博士の研究は、新鉱物の発見という成果に結実します。1973年には備中石を発見し、その功績により櫻井賞を受賞。その後も研究を続け、1977年には布賀石、1992年には単斜トベルモリー石、そして1995年には森本柘榴石と草地鉱を発見するなど、鉱物学の発展に大きく貢献しました。これらの発見は、日本の地質学、鉱物学研究に新たな知見をもたらし、国際的な評価も得ています。

彼女の研究における情熱と探究心は、数々の論文発表にも表れています。科学研究費助成事業データベース(KAKEN)、J-GLOBAL、researchmapなどを通じて、彼女の研究内容を詳細に知ることができます。これらの研究成果は、現在も鉱物学の重要な基礎資料として活用されています。

逸見博士の功績を称え、父である逸見吉之助博士との共同研究、そして彼女自身の研究成果を記念して、逸見石（Henmilite）と千代子石（chiyokoite）という2つの鉱物に彼女の名が冠せられました。これは、鉱物学者として、そして科学者としての彼女の偉大な業績が、永遠に後世に語り継がれることを意味します。

逸見千代子博士の生涯は、情熱と探究心に満ちた、まさに鉱物学研究者としての理想的な生き方でした。彼女の残した研究成果は、未来の地球科学研究者たちに大きな影響を与え続け、日本の鉱物学の発展に貢献し続けていくことでしょう。その功績は、単なる学術的な成果にとどまらず、科学への貢献、そして人類への貢献という、より大きな意味を持つものなのです。

主要な業績

ゲーレン石後退変質に関する研究：東京大学での博士論文
備中石の発見 (1973年)：櫻井賞受賞
布賀石の発見 (1977年)
単斜トベルモリー石の発見 (1992年)
森本柘榴石と草地鉱の発見 (1995年)
逸見石(Henmilite)と千代子石(chiyokoite)への献名

参考文献

論文一覧（KAKEN）
逸見千代子 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
逸見千代子 - J-GLOBAL
逸見千代子 - researchmap

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