森村桂

森村桂：多彩な才能と波瀾万丈の人生

森村桂（もりむらかつら、1940年1月3日 - 2004年9月27日）は、20世紀後半を代表する日本の作家の一人です。作家豊田三郎を父に、歌人森村浅香を母に持ち、恵まれた環境で育ちました。幼少期は公立小学校に通学した後、学習院初等科に編入。その後、学習院女子中・高等科、学習院大学文学部国文学科と進学しました。

しかし、19歳という若さで父を亡くしたことが、彼女のその後の人生に大きな影を落とします。家計の苦しさ、そして母親との複雑な関係の中で、大学生活は苦悩に満ちたものとなりました。大学卒業後は女性週刊誌記者として就職しますが、ゴシップ中心の仕事に嫌気が差し、わずか2ヶ月で退職。その後もいくつかの職を転々とした後、1964年には単身ニューカレドニアへ旅立ちます。

このニューカレドニアでの経験は、彼女の人生を大きく変える転機となります。1965年、当時の女子大生言葉を巧みに使ったエッセイ『違っているかしら』で作家デビューを果たしました。続く、ニューカレドニア旅行記『天国にいちばん近い島』は、発売と同時に大きな話題を呼び、200万部を超えるベストセラーとなります。この作品は、NHK朝の連続テレビ小説『あしたこそ』の原作としても採用され、彼女の知名度を全国区へと押し上げました。

1960年代後半には、川端康成と並ぶ人気作家として書店に個別のコーナーが設けられるほどの人気ぶりでした。1970年代には講談社から「森村桂文庫」として約30冊もの作品が刊行されるなど、旺盛な創作活動を続けました。角川春樹とも親交が深く、多くの作品が角川文庫にも収められました。1984年には『天国にいちばん近い島』が映画化され、原田知世主演で再び脚光を浴びます。ただし、映画の内容は原作と大きく異なっていました。

作家活動以外にも、森村桂は多様な才能を発揮しました。1985年には軽井沢に手作りケーキとジャムの店「アリスの丘」を開店し（2014年2月28日閉店）、趣味で始めた絵画も「アリスの丘絵画展」を開くほどになるなど、その才能は多岐に渡りました。

私生活では、探検家の谷口正彦と結婚するも離婚。その後、三宅一郎と再婚しますが、精神的な病に悩まされることも多かったようです。2004年9月27日、長野県内の病院で死去。64歳でした。関係者によると、自殺と見られています。

数々のベストセラーを生み出し、多様な才能で人々を魅了した森村桂。彼女の作品は、現代社会においても、多くの人々に共感と感動を与え続けています。彼女の人生は、創作活動のみならず、人生の様々な局面においても、私たちに多くの示唆を与えてくれるでしょう。彼女の波瀾万丈の人生と、多方面にわたる才能は、これからも多くの人々を惹きつけ続けることでしょう。

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