森章 (沖電気)

森 章氏は、1907年12月12日に埼玉県で生を受けました。旧制熊谷中学校での学びを経て、1928年に東京高等工業学校電気科を卒業。その卒業と同年の1928年、日本の通信機器および情報機器メーカーである沖電気工業株式会社に入社しました。

技術者として沖電気工業でのキャリアをスタートさせた森氏は、社業の発展に長年尽力しました。入社から約19年後の1947年には取締役に昇進し、経営の一端を担うこととなります。その後も順調に役職を重ね、1956年には常務、そして1963年には専務へと昇進。社内での指導的立場を確固たるものにしていきました。

1966年11月、森氏はついに社長に就任しました。技術畑出身者として、激動の時代における会社の経営を牽引。約6年間にわたり社長として辣腕を振るった後、1972年11月には会長に就任し、引き続き会社の重責を担いました。会長職を約3年半務めた後、1976年6月には相談役に退き、経営の第一線からは一歩引きましたが、豊富な経験に基づいた助言を行いました。さらに1979年6月からは特別顧問として、その晩年まで会社に関与し続けました。森氏の沖電気工業でのキャリアは、入社から特別顧問退任まで、実に半世紀を超える長い期間に及びました。

経営者としての貢献は広く認められ、1971年4月には藍綬褒章を受章しました。さらに1978年4月には、国から勲二等瑞宝章を授与されています。これらの受章は、森氏が長年にわたり産業界、特に電気通信分野の発展に貢献した功績が高く評価されたことによるものです。

森 章氏は、1991年11月10日、肺炎のため83歳でその生涯を終えました。技術者としての道を歩み始め、やがて経営のトップに立ち、日本の電機産業の一翼を担った人物として記憶されています。

参考文献
* 人事興信所 編『人事興信録 第33版 下』人事興信所、1985年。

もう一度検索