森谷克己

森谷克己の生涯と業績

生い立ち

森谷克己（もりたに かつみ）は1904年1月1日に岡山県上房郡上水田村（現在の真庭市北房地域）で生まれました。彼は地元の岡山県立高梁中学校に進学し、同校の卒業生には後の関西電力取締役となる板野道夫もいました。1921年に同校を卒業した森谷は、その後、第六高等学校に進みました。1924年に六高を卒業し、東京帝国大学法学部に進学し、1927年には同大学を卒業しました。

学者としてのキャリア

卒業後の1927年6月、森谷は京城帝国大学法文学部の助手に任命され、1929年には助教授に昇進しました。しかし、1945年の敗戦に伴って、彼は日本に戻ることとなり、1946年には名目上の教授職に就くも、正式には退官となりました。その後、愛知大学法学部教授を経て、1952年には広島大学政経学部教授に転任し、さらに1953年からは岡山大学法文学部教授として故郷に戻りました。岡山大学では法文学部長としても活躍しましたが、1960年には武蔵大学教授に就任し、その職内で1964年11月に亡くなりました。彼の家族には娘の子安美知子と息子の森谷宇一がいます。

研究内容と業績

森谷の主要な研究課題は朝鮮半島の経済歴史でした。彼の見解は、当時の日本の利害と密接に結びついており、特に朝鮮に封建体制が存在すると考えていました。これは福田徳三の見解とは対照的であり、森谷は朝鮮の封建制度は未熟であったが存在していると主張しました。この未熟な封建体制が、専制的および官僚主義的な社会に転換される兆候は見られず、これは専制的な治水と農業の問題に起因すると述べました。

彼は、日本と朝鮮の対比において、日本が封建体制を完成させた結果、アジアの他の地域が植民地・半植民地に転落する原因は、経済の停滞にあると考えました。森谷の見解によれば、日本の発展は他のアジア諸国とは異なり、近代化を促進する役割を果たし、日本による支配がアジア諸国の「停滞の悪循環からの脱却」に寄与すると主張しました。

評価と批評

彼のこの見解は、特に韓国の研究者から批判を受けることがありました。李萬烈などの学者は、森谷が日本の帝国主義を正当化する立場に立ち、アジアや朝鮮の近代化を日本の力に依存すべきだという意見を持つことから、植民史観に基づくとされています。そのため、森谷の考えは大東亜共栄圏のスローガンと密接に結びつけられ評価されています。

著作と翻訳

森谷は多くの書籍を著し、主な著作に『支那社会経済史』『アジア的生産様式論』『東洋小文化史』などがあります。また、彼はハインリッヒ・クノーやフリードリヒ・ポロックなどの外国著作を翻訳しており、彼の翻訳した資料も評価されています。こうした多彩な功績から、森谷克己は日本の経済史における重要な学者の一人として位置づけられています。

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