森跳二

森跳二（もりちょうじ）は、1982年4月15日に奈良県磯城郡田原本町で生まれた日本の元プロ野球選手（投手）です。

来歴・人物

プロ入り前

野球を始めたのは小学校3年生の頃で、当時は軟式野球を経験しました。しかし、中学時代は右肩の故障に悩まされ、野球を続けることができませんでした。高校で投手に復帰し、卒業後に関西外国語大学へ進学します。

大学では1年春からマウンドに上がり、2年春には二部リーグでのプレーとなりましたが、秋には一部リーグへ復帰。特に3年生時には年間20勝を挙げるなど目覚ましい活躍を見せ、3年春と4年秋には阪神大学リーグの最優秀投手に輝きました。阪神大学一部リーグでの通算成績は64試合登板、30勝25敗、防御率1.90、388奪三振と優れた数字を残しています。二部リーグでも通算4勝2敗の記録があります。

これらの実績が評価され、2004年のNPBドラフト会議において、広島東洋カープから3巡目で指名を受け、プロ入りが決定しました。

プロ入り後

プロ入り1年目の2005年は、5月に先発として一軍初登板を果たし、5回4安打1失点と好投しました（この試合に勝敗はつきませんでした）。以降は主にリリーフ投手として一軍に定着します。

彼の最大の武器は、切れ味鋭いスライダーでした。特に右打者に対しては圧倒的な強さを発揮し、右打者への被打率が1割台であったのに対し、左打者には5割台と明確な得意・不得意が見られました。奪った三振の約9割が右打者から奪ったものでした。

2006年は一軍での登板機会はありませんでしたが、二軍ではチーム2位の30試合に登板し、防御率3.02と安定した成績を残します。続く2007年も二軍でチーム最多となる31試合に登板し、この年2年ぶりに一軍のマウンドを踏みました。2008年には再び二軍でチーム最多の40試合に登板。セットアッパーとしての起用が増え、与四球の少なさや防御率2点台といった安定した内容を示しました。

2009年には二軍での抜群の安定感が評価され、6月5日にシーズン初の一軍昇格を果たします。同日の対福岡ソフトバンクホークス戦（マツダスタジアム）で、1点ビハインドの6回無死一塁という状況から2番手として登板。わずか6球で1回を無失点に抑える好救援を見せると、直後の味方の逆転と降雨によるコールドゲーム成立により、プロ入り5年目にして記念すべき初勝利を手にしました。

翌2010年も二軍では安定した投球を継続していましたが、一軍では成績を残すことができず、同年10月3日に球団から戦力外通告を受け、現役を引退しました。

プレイスタイル・人物像

森投手のストレートの最速は140km/h台中盤と、プロ野球選手としては突出した球速ではありませんでしたが、切れ味鋭いスライダーやチェンジアップといった多彩な変化球を巧みに操り、高い奪三振率を記録しました。特に右打者との対戦ではその変化球が有効でした。

彼は関西外国語大学出身者として初めて、そして日本の外国語大学卒業者としても初めて誕生したプロ野球選手という、異色の経歴を持っています。大学出身のため、ある程度の英語は話せるものの、外国人選手に積極的に話しかけるのは苦手だったと語っています。これには、野球人としてまだ未熟であるという自己評価や、日本の野球を教えられる立場ではないという謙虚さがあったと述懐しています。

その顔立ちが「大魔神」と呼ばれた元プロ野球選手の佐々木主浩氏に似ていることから、所属球団のイメージカラーと重ねて「赤大魔神」という愛称で呼ばれました。また、大学時代にはその名前から「もりちょー」というニックネームで親しまれていたようです。

プライベートでは、2009年5月20日深夜に放送されたテレビ番組「今ちゃんの「実は…」」にて、お笑いコンビのシャンプーハットが神戸市三宮周辺で「実はすごい人物」を探していた際に偶然出会ったというエピソードもあります。

詳細情報

記録

初登板・初先発: 2005年5月29日、対西武ライオンズ6回戦（インボイスSEIBUドーム）、5回4安打1失点
初奪三振: 同上、2回裏にアレックス・カブレラから空振り三振
初ホールド: 2005年8月25日、対阪神タイガース16回戦（広島市民球場）、7回表2死に4番手で救援登板、1/3回無失点
初勝利: 2009年6月5日、対福岡ソフトバンクホークス3回戦（MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島）、6回表に2番手で救援登板、1回無失点

背番号

16 （2005年 - 2006年）
30 （2007年 - 2010年）

外部リンク

個人年度別成績森跳二 - NPB.jp 日本野球機構

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