森野嘉光

森野嘉光の陶芸人生

森野 嘉光（もりの かこう）は、日本の著名な陶芸家であり、また画家としてもその名を知られています。本名は森野嘉一郎で、1899年4月15日に京都市東山区で生まれました。彼の作品は、塩釉や緑釉の斬新な色彩技術を駆使しており、陶芸界において高く評価されています。

幼少期と教育

嘉光の父は清水焼の陶芸家であったため、幼少期から陶芸に触れる環境で育ちました。しかし、彼は画家としての道を志し、1921年には京都市立絵画専門学校の日本画科を卒業しました。この時期に彼は、絵画の技術を磨くと同時に、父の影響を受けて陶芸に対しても興味を持つようになりました。

画家としてのスタート

卒業後、彼はさっそく精力的に作品を発表し、1921年の第3回帝展では卒業制作『比叡の山麓』を出品し、初入選を果たしました。1926年には第7回帝展にも日本画で入選を果たします。しかし、その間に彼は陶芸にも関心を持ち、青磁や辰砂の研究を始めたことで、次第に作陶の道へと進むことになりました。

陶芸家としての成長

陶芸家として家業を継いだ嘉光は、1941年に第4回新文展で『塩釉枇杷図花瓶』を出品し、特選を受賞しました。この受賞は彼の陶芸家としての地位を確立する重要な出来事でした。第二次世界大戦後、彼は清水六兵衛や河合栄之助らとともに京都陶芸家クラブを結成し、芸術界での影響力を高めていきました。

公的活動と評価

嘉光は、日展への出品を通じて審査員を務めたり、日展が社団法人化した際には評議員として活動したりしました。特に1963年には『塩釉三足花瓶』によって日本芸術院賞を受賞し、その功績が評価されました。また、1967年には京都市文化功労者に認定され、1968年には京都府美術工芸功労者としても名を馳せました。

晩年と後世への影響

1987年5月2日、森野嘉光は老衰により京都府立医科大学付属病院で亡くなりました。享年88。彼のもとで陶芸を学んだ息子の森野泰明もまた、陶芸家としての道を歩んでいます。嘉光は、彼の技術と芸術的な感性を次世代に引き継いだ存在であり、現在でも多くの人々にその作品と影響を与え続けています。彼の生涯を通じて際立った技芸や情熱は、今なお陶芸界において高く評価され続けています。

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