植山悦行

植山悦行：30余年にわたる将棋人生の軌跡

植山悦行氏は、1957年4月28日、三重県伊勢市に生まれました。将棋界においては、佐瀬勇次名誉九段を師事した棋士として知られています。棋士番号は150番。関西奨励会で将棋のキャリアをスタートさせ、その後関東奨励会に移籍。22歳で三段に昇段するまでの間は、師匠のもとで内弟子として研鑽を積みました。関西奨励会在籍中は、奨励会の対局以外ではほとんど将棋を指さなかったにもかかわらず、順調に昇級を重ねたという逸話も残っています。

1981年4月、24歳で四段に昇段しプロ棋士としてデビュー。プロ入り後は様々なタイトル戦や棋戦で活躍します。1986年度の天王戦では、四段戦を勝ち抜き本戦に進出。森下卓、富岡英作といった強豪棋士を破る活躍を見せました。また、1990年度の棋王戦、1991年度の棋聖戦などにも本戦出場を果たしています。1991年度の棋聖戦一次予選では佐藤康光氏、二次予選では大山康晴氏と、当時を代表する強豪棋士を破る金星をあげたことは特筆に値します。

1994年度には竜王戦5組で準優勝という好成績を収め、4組への昇級を果たしました。同年度の棋王戦にも2度目の本戦出場を果たすなど、着実に実績を重ねていきます。2001年度には朝日オープン将棋選手権の本戦出場を果たすなど、第一線で活躍する棋士として名を馳せました。

しかし、順位戦の降級点規定により、2003年度からフリークラスに編入。その後10年間、順位戦C級2組復帰という目標達成には至りませんでした。そして、2012年度の最終対局日を以て引退が内定。2013年3月31日時点では、第26期竜王戦6組昇級者決定戦への出場資格を残しており、1回戦では兄弟子の田丸昇氏に勝利。しかし、2回戦で石川陽生氏に敗れ、2013年6月28日付で現役を引退しました。

植山氏の棋士生活は、数々のタイトル戦出場や強豪棋士との対戦だけでなく、意外なエピソードにも彩られています。1989年には女流棋士で妹弟子でもある中井広恵氏と結婚。3人の娘をもうけました。当時アフロヘアーだったという植山氏への中井氏の最初の印象は最悪だったとのことですが、後に奨励会で孤立しがちな中井氏を植山氏がサポートしたことが、結婚へと繋がったそうです。また、1991年度の早指し将棋選手権予選では、反則負けという悔しい経験もしています。このエピソードは、後にNHKの番組で取り上げられ、妻である中井氏が解説を務めるという場面も生まれました。さらに、NHK杯戦ではプロ生活32年間、予選敗退を繰り返したことも特筆すべき点です。

1996年から2005年まで研修会幹事を務めるなど、後進の育成にも貢献しました。引退後も、将棋の普及活動に積極的に参加し、地方イベントにも足を運ぶなど、将棋界への貢献を続けています。

植山悦行氏の棋士人生は、華々しい活躍だけでなく、努力と挫折、そして人との繋がりによって彩られた、まさに波瀾万丈な物語でした。長年に渡る棋士生活、そして引退後も将棋界に貢献し続けるその姿勢は、多くの将棋ファンに深く記憶されるでしょう。

昇段履歴

1972年：5級（奨励会入会）
1975年：初段
1981年4月2日：四段（プロ入り）
1987年4月6日：五段
1994年7月29日：六段
2007年4月1日：七段
2013年6月28日：引退

主な成績

天王戦四段戦優勝（1986年度）
棋王戦本戦出場（複数回）
棋聖戦本戦出場（1991年度）
竜王戦5組準優勝（1994年度）
朝日オープン将棋選手権本戦出場（2001年度）

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