植田康夫

植田康夫：出版界を牽引した編集者・ジャーナリスト

植田康夫（1939年8月26日 - 2018年4月8日）は、日本の出版界において重要な役割を果たした編集者、ジャーナリスト、そして教育者です。広島県呉市に生まれ、島根県邑智郡邑智町で育ちました。上智大学文学部新聞学科を卒業後、『週刊読書人』編集部に入社し、編集者としてのキャリアをスタートさせました。その後、編集長、読書人取締役を歴任し、出版界の中心で活躍しました。

ジャーナリズムと出版への情熱

植田康夫は、ジャーナリズムへの深い理解と情熱を持っていました。大宅壮一が主催した「大宅壮一・東京マスコミ塾」の一期生としてジャーナリズムを学び、大宅壮一文庫の副理事長も務めました。この経験は、彼の編集者としての活動に大きな影響を与えたと言えるでしょう。また、山本夏彦、猪瀬直樹、田原総一朗など、文壇や論壇の著名人との交流も深く、幅広い知識と人脈を築いていました。

学問としての出版論の確立

植田康夫の功績として特筆すべきは、出版論を学問として確立したことです。上智大学文学部新聞学科の助教授、教授として教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。2008年に上智大学を退任し、名誉教授となりました。日本出版学会会長や日本マスコミ学会理事なども歴任し、出版界の発展に大きく貢献しました。

数々の著作と編集活動

植田康夫は、多数の著書を執筆し、出版に関する深い洞察を示しました。『現代マスコミ・スター 時代に挑戦する6人の男』、『白夜の旅人 五木寛之』、『病める昭和文壇史―自殺作家に見る暗黒世界』など、幅広いテーマを扱い、読者に新たな視点を提供しました。また、『雑誌は見ていた。 戦後ジャーナリズムの興亡』では、戦後ジャーナリズムの歴史を詳細に分析し、その変遷を明らかにしました。

編集者としても優れた才能を発揮し、『読書大全』、『読書日録大全』などの編集を手がけました。これらの書籍は、読書文化の普及に貢献し、多くの読者に愛されています。

社会への貢献と受賞歴

植田康夫は、梓会出版文化賞、髙橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」などの選考委員や、NHK衛星第2テレビの「週刊ブックレビュー」のコメンテイターなど、多岐にわたる活動を通して社会に貢献しました。

晩年まで出版界を牽引

晩年まで出版界への情熱は衰えることなく、『「週刊読書人」と戦後知識人』や『出版の冒険者たち。 活字を愛した者たちのドラマ』など、出版に関する重要な著作を発表し続けました。

植田康夫は、その生涯を通じて出版界の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、後世に語り継がれ、出版に携わる人々にとって貴重な遺産となるでしょう。

主な著書

『現代マスコミ・スター 時代に挑戦する6人の男』
『白夜の旅人 五木寛之』
『病める昭和文壇史―自殺作家に見る暗黒世界』
『自殺作家文壇史』
『3000万人を魅きつけた男 磯村尚徳のテレビマン哲学』
『現代の出版―この魅力ある活字世界』
『編集者になるには』
『当世出版事情―本と雑誌への熱いまなざし・行動的読書生活のために』
『出版界コンフィデンシャル』
『メディアの狩人　時代のコンセプトをどう読むか』
『ベストセラー考現学』
『売れる本100のヒント』
『売れる本のつくりかた ベストセラー・ヒット企画を生み出す発想のヒント』
『雑誌は見ていた。 戦後ジャーナリズムの興亡』
『本は世につれ ベストセラーはこうして生まれた』
『ヒーローのいた時代 マス・メディアに君臨した若き6人』
『出版の冒険者たち。 活字を愛した者たちのドラマ』

主な共編著

『『トットちゃん』ベストセラー物語』
『読書大全』
『メディアNow 広告・情報・出版・映像』
『読書日録大全』
『何用あって月世界へ 山本夏彦名言集』
『現場からみた出版学』
『「現代マスコミ論」のポイント 新聞・放送・出版・マスメディア』
『新現代マスコミ論のポイント』
『新 現場からみた出版学』
『「週刊読書人」と戦後知識人』
『戦後史の現場検証　ルポライターの取材メモから』
* 『岩波茂雄文集』

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