椎 (駆逐艦)

駆逐艦「椎」：太平洋戦争と戦後の歩み

「椎」は、日本海軍の橘型（改松型）駆逐艦です。艦名は植物の椎に由来し、この名を持つ最初の艦船となりました。舞鶴海軍工廠で建造され、昭和19年（1944年）9月18日に起工、昭和20年（1945年）1月13日に進水、同年3月13日に竣工しました。

竣工後、「椎」は第十一水雷戦隊に編入され、瀬戸内海西部で訓練に従事しました。訓練中においては、当時健在だった戦艦「大和」を目の当たりにするなど、貴重な体験をしました。一方で、発電機の故障や重油への塵埃混入といったトラブルにも見舞われています。

昭和20年5月20日、第三十一戦隊第四十三駆逐隊に編入。「椎」は豊後水道で訓練中に触雷し損傷する事態に見舞われました。さらに7月24日には、平生で回天発射訓練中にアメリカ軍のP-51戦闘機と交戦。損傷はありませんでしたが、戦死者を出しました。

終戦時、「椎」は無傷の状態で呉に停泊していました。昭和20年8月17日、アメリカ海軍に接収され、武装解除を受けました。同年10月5日に日本海軍から除籍されると、10月25日からは外地からの復員輸送任務に就きました。同年12月1日には正式に特別輸送艦に指定され、翌昭和21年（1946年）12月13日までの間、沖縄と日本間の復員輸送を20回以上も繰り返しました。

昭和22年（1947年）7月5日、「椎」はナホトカにおいてソ連に賠償艦として引き渡されました。ソ連海軍では、艦名を「ヴォーリヌイ」（Вольный、自由なという意味）と改称し、艦隊水雷艇に分類されました。同年8月中旬にはウラジオストクに到着し、太平洋艦隊に編入されましたが、実質的な運用はなされず、1949年3月まで係留されたままでした。

その後、「椎」は標的艦に類別変更され、艦名も「TsL-24」（ЦЛ-24）に変更されました。1959年まで訓練用として使用されたのち、同年末にソ連海軍から除籍され、解体されました。「ヴォーリヌイ」の艦名は、その後、30-bis号計画型艦隊水雷艇に継承されました。

「椎」の艦長は、以下のとおりです。

艤装員長：青山豊四 少佐（1945年2月20日 - 1945年3月13日）
駆逐艦長/艦長：青山豊四 少佐/第二復員官/第二復員事務官/復員事務官（1945年3月13日 - 1946年8月2日）
復員事務官：石飛矼（1946年8月2日 - 1947年1月10日）
復員事務官：武田新太郎（1947年1月10日 -）

「椎」の艦歴は、太平洋戦争末期の日本の駆逐艦の運用状況、そして戦後における艦船の扱いを知る上で貴重な資料と言えます。その短いながらも激動に満ちた生涯は、歴史の大きな流れの中で、一艦の艦艇の運命を浮き彫りにしています。 様々な資料を参照することで、より詳細な情報を収集することができます。

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