椙山今子

椙山今子：女子教育に捧げた情熱

椙山今子（すぎやま いまこ、1877年 - 1965年4月13日）は、明治から昭和にかけて、女子教育の発展に尽力した教育者です。岐阜県に生まれ、夫である椙山正弌とともに、現在の椙山女学園を設立しました。旧姓は中村、本名は「いま」です。

教育者としての原点

今子は岐阜県師範学校を卒業後、当時の女子教育、特に裁縫教育の改善を志し、東京裁縫女学校（現在の東京家政大学）に入学しました。そこで出会ったのが、同じく教育への情熱を抱く椙山正弌でした。二人は故郷が同じ岐阜県であることや、岐阜師範学校の同窓生であることなど、多くの共通点から意気投合し、出会って3年後の1905年（明治38年）に結婚しました。

椙山女学園の設立

結婚後、二人は中京の地に戻り、女子教育と人間性開発を掲げ、名古屋裁縫女学校（現在の椙山女学園大学）を設立しました。1905年（明治38年）4月1日、尾張藩の奉行職にあった稲葉家が所有する名古屋市富士塚町（現在の東区泉一丁目）の武家屋敷を借りて開校しました。当初は400坪の広さを持つ屋敷からのスタートでした。

金剛鐘の導入

1921年（大正10年）、今子は教育事情視察のため渡米し、スタンフォード大学で感銘を受ける出来事がありました。毎朝、美しい鐘の音とともに讃美歌のメロディーが流れ、学生だけでなく道行く人々も足を止めて祈りを捧げる姿に心を打たれました。帰国後、今子は学園にもこの鐘を取り入れることを決意します。

英国ロンドンのジレット社に鐘の製作を依頼し、1930年（昭和5年）、覚王山にあった当時「白亜の殿堂」と称された椙山第二高等女学校の校舎屋上に設置されました。1931年（昭和6年）2月11日、鐘から初めて昭憲皇太后御歌『金剛石』のメロディーが流れました。以来、「金剛鐘」と名付けられたこの鐘の音は、毎朝8時30分に始業を告げる学園のシンボルとなり、卒業生や在校生の心に深く刻まれています。

現在の椙山女学園

現在、学校法人椙山女学園は、幼稚園から大学院までを擁する東海地方唯一の女子総合学園として発展を遂げています。名古屋市内にある愛知淑徳、金城学院と並び、名古屋の三大お嬢様学校「SSK」として知られています。

今子の教育理念は、今も椙山女学園に息づいています。

著書

『衣服裁方図解（和装）』揃2冊 - 椙山今子編、大正2年、名古屋裁縫女学校

参考文献

『私学人 椙山正弌』 - 椙山女学園『私学人 椙山正弌』刊行会（代表 椙山正弘）編、昭和50年初版、講談社
『人間論「人間になろう」の探求－創設者椙山正弌先生に捧げる』（椙山女学園大学研究叢書）- 横田澄司著、2004年12月、中央公論事業出版
『椙山女学園 100年史』 - 2006年初版

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