椛島有三

椛島有三：保守運動の重鎮

椛島有三（かばしま ゆうぞう、1945年 - ）は、日本の政治活動家、社会運動家として知られています。彼は、日本会議事務総長、日本青年協議会・日本協議会会長、美しい日本の憲法をつくる国民の会事務局長など、数々の要職を歴任し、日本の保守運動において重要な役割を果たしてきました。

生い立ちと初期の活動

佐賀県に生まれた椛島は、1965年に長崎大学に進学しましたが、1970年に中退。その後、日本青年協議会を結成し、月刊誌『祖国と青年』を主宰し、多数の寄稿を行いました。

日本会議での活動

1978年に石田和外が中心となって結成された「元号法制化実現国民会議」や、その後身である1981年結成の「日本を守る国民会議」で事務局長を務めました。1997年には、これらの団体を引き継ぐ形で結成された日本会議で事務総長に就任し、現在に至るまでその職にあります。また、天皇陛下御即位十年奉祝委員会事務局長、天皇陛下御即位20年奉祝委員会副事務総長なども務め、皇室 관련 행사にも深く関わっています。

活動に対する評価

朝日新聞記者の藤生明は、椛島らの活動を振り返り、「学生時代からビラを配り、新聞を作り、選挙で自治会を掌握した。『左翼のマネばかりするな』といわれながらも、署名を集め、地方議会の決議を積み上げた。とにかく『まじめ』。仕事ぶりで保守派の信頼を獲得し、政権中枢への足がかりをえた」と評しています。この評価は、椛島の地道な活動と、それによって築き上げられた信頼関係を物語っています。

学生運動との関わり

長崎大学の学生時代には、反共愛国路線であったとされる生長の家を信仰し、学園正常化を目指して活動していました。「デモ反対・全学連反対」のビラを配っていた際にリンチに遭い、全学連打倒を決意。学生自治会の選挙に仲間を擁立し、民族派の自治会を誕生させることに成功しました。また、日本青年協議会は、生長の家学生会全国総連合のOB組織と連携し、統一教会系の「原理研究会」とも協力して「長崎大学学生協議会」（長大学協）を結成。「学協方式」と呼ばれる組織的な戦術は、全国の学生運動に広まっていきました。

日本会議の研究を巡る問題

菅野完の著書『日本会議の研究』の出版停止を求める申入書が、椛島有三を差出人として扶桑社へ送付されました。申入書では、『日本会議の研究』が「日本会議について裏付けの取れない証言を並べ、活動を貶める目的で編集されており、団体・個人の名誉を傷つける」と主張。東京地裁は当初、同書の一部記述について名誉棄損を認め、販売差し止め仮処分を決定しましたが、後に東京地裁は扶桑社の不服申し立てを認め、差し止め命令を取り消す逆転決定を下しました。

主な著書

椛島は、以下の著書を執筆・共著しています。

米ソのアジア戦略と大東亜戦争（明成社、2007年）
皇室を発見した若者たち―ご在位十年（天皇陛下御即位十年奉祝委員会、2000年）
戦後教育を歪めたGHQ主導の教育基本法―国会議論の焦点「国を愛する心」「宗教的情操」「教育に対する国の責任」を問う（江崎道朗との共著、明成社、2006年）
日本再興へ!―皇室を守り、尖閣・沖縄を防衛し、中国の脅威に如何に立ち向かうか（中西輝政との共著、明成社、2012年）
* 祖国復帰は沖縄の誇り（仲村俊子との共著、明成社、2012年）

これらの著書は、椛島の思想や活動を知る上で貴重な資料となっています。

椛島有三は、日本の保守運動を代表する人物の一人として、その活動は多方面に及んでいます。彼の思想や活動は、日本の政治、教育、文化に大きな影響を与え続けており、今後もその動向が注目されます。

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