楊威

楊威（ヤン・ウェイ）：不屈の精神で頂点を極めた体操王

楊威（ヤン・ウェイ、1980年2月8日 - ）は、中国湖北省出身の元男子体操選手。オリンピック団体総合、個人総合の金メダリストであり、中国国内では「体操王」の愛称で親しまれています。

略歴

5歳で体操を始めた楊威は、16歳で中国代表に選出されました。体操選手としては理想的な体型とは言えませんでしたが、圧倒的な練習量で実力を磨き上げました。2000年シドニーオリンピックでは、団体総合で金メダル、個人総合で銀メダルを獲得し、その名を知らしめました。

2004年アテネオリンピックでは、金メダルの期待を背負いながらも不本意な結果に終わり、引退も考えました。しかし、この挫折を乗り越え、2006年世界選手権オーフス大会では、団体総合、個人総合、平行棒の3種目で金メダルを獲得し、見事復活を遂げました。2007年世界選手権シュトゥットガルト大会でも団体総合で優勝、個人総合では史上初の大会二連覇を達成しました。

2008年北京オリンピックでは、地元開催というプレッシャーの中、団体総合、個人総合の両種目で金メダルを獲得し、最高の形で自国開催のオリンピックを終えました。また、2008年5月の四川大地震の際には、被災地への寄付を目的として、つり輪で獲得した銀メダルをオークションに出品しました。2009年5月7日に現役引退を表明。

幾多の挫折を乗り越え、たゆまぬ努力と成長を続けた楊威の不屈の精神は、中国国家体操チームの練習場に「楊威を見習おう」という看板が掲げられるほど、多くの人々に感銘を与えました。

プライベートでは、2008年にシドニー五輪女子体操代表の楊雲と結婚しています。

プレースタイルと特徴

楊威は、中国では比較的少ないオールラウンダータイプの選手でした。同世代の日本の冨田洋之やアメリカのポール・ハムらと数々の名勝負を繰り広げ、体操ファンを魅了しました。演技は難度を重視した構成で、技の難度を示す演技価値点では、冨田やハムを大きく上回っていました。

トップクラスのオールラウンダーとしては珍しく、鉄棒を苦手としていました。試合では、負けた時には悔しさを露わにする表情を見せる一方で、勝った時には控えめで、感情をあまり表に出さない一面も持ち合わせていました。

主な成績

1999年 世界選手権天津大会 団体総合 金、鉄棒 銅
2000年 シドニーオリンピック 団体総合 金、個人総合 銀
2002年 世界選手権デブレツェン大会 跳馬 銅
2002年 釜山アジア競技大会 団体総合 金、個人総合 金
2003年 世界選手権アナハイム大会 団体総合 金、個人総合 銀
2004年 アテネオリンピック 団体総合 5位、個人総合 7位
2006年 世界選手権オーフス大会 団体総合 金、個人総合 金、平行棒 金
2006年 ドーハアジア競技大会 団体総合 金、個人総合 金、平行棒 金
2007年 世界選手権シュトゥットガルト大会 団体総合 金、個人総合 金
2008年 北京オリンピック 団体総合 金、個人総合 金、つり輪 銀

楊威は、その卓越した技術と不屈の精神で、中国体操界に多大な貢献をしました。彼の功績は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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