楊宇霆

楊宇霆の生涯と軍歴

楊宇霆（よう うてい）は、清末から民初にかけて活動した著名な軍人であり、北京政府奉天派に属していました。彼の名は、字（あざな）を麟葛として知られています。彼は日本に留学し、陸軍士官学校の砲兵科を卒業した後、中華民国が成立するとさまざまな軍事的地位に就くことになります。

軍歴の始まり

楊宇霆の軍歴のスタートは、彼が東三省講武堂の教官を務めたことに始まります。続いて、彼は陸軍部科長、奉天軍械局局長、奉天盛武将軍公署の参謀長など、多岐にわたる職に就きました。1921年（民国10年）には、東三省巡閲使署の総参議と奉天兵工廠の総弁に任命され、高い地位にありました。

奉直戦争と政敵との対立

1924年（民国13年）、第2次奉直戦争が勃発すると、楊宇霆は鎮威軍の総参謀長に任命され、総司令である張作霖を支援しました。しかし、この時期から彼は奉軍内の有力な軍人である郭松齢との対立が深まっていきます。彼にとって郭松齢は最大の政敵となり、奉直戦争の勝利後、楊宇霆は江蘇軍務督弁に任命されたものの、元直隷派の孫伝芳の攻撃を受け、奉浙戦争では撤退を余儀なくされました。

逃避と権力争い

1925年（民国14年）11月、郭松齢が張作霖に対して兵変を起こした際、楊宇霆もその標的となり、彼は一時的に大連に逃げ込むことになりました。最終的に郭松齢は、関東軍の支援を受けた張作霖の反撃に遭い、敗死します。その後、楊宇霆は東北第4軍団の総司令や安国軍政府大元帥府の参謀長を歴任し、再び権力の中枢に関与することとなります。

権力闘争の結末

1928年（民国17年）6月4日、張作霖が関東軍によって爆殺されると、楊宇霆は張学良との権力争いに突入します。この激しい争いは、その後の国の運命にも影響を与える重要なものでした。しかし、同年12月29日の易幟後、1929年（民国18年）1月に楊宇霆は張学良に逮捕され、急遽銃殺される運命を辿ります。享年は44歳でした。

楊宇霆の影響と評価

楊宇霆の生涯は、軍事や政権における複雑な動きの中で、多くの歴史的な事件と結びついています。彼の活動は、清末から民初の中国の軍事的な状況や権力構造を理解する上で重要な要素となっており、後の歴史にも影響を与えました。彼の行動や対立の背景には、当時の中国の政治事情や軍人の役割に関する複雑さが横たわっています。

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