楠橋紋織

楠橋紋織株式会社

楠橋紋織株式会社は、愛媛県今治市に本社を置く、日本のタオル産業を代表する企業の一つです。1931年の創業以来、高品質なタオル製品を製造し、国内外に展開しています。

創業と発展

楠橋紋織の歴史は、1931年に楠橋俊夫が父・三郎治、兄・秀雄と共に「楠橋三郎治工場」として創業したことから始まります。俊夫は八幡浜市の織物検査所に勤務していましたが、家業を興すために立ち上がりました。第二次世界大戦後、工場は幸運にも焼失を免れ、24台のジャガード織機と50人の従業員で再出発。1951年には株式会社に改組し、タオル製品の貿易体制を整え、東南アジアやオーストラリアへの輸出を開始しました。1955年には、生産額において日本一のタオル会社へと成長を遂げました。

1957年には、国内初のプリントタオルを販売するなど、常に新しい技術や製品の開発に積極的に取り組みました。1980年には革新織機を導入し、生産能力を拡大。しかし、時代の変化とともに、国内での製造原価の高騰や流通からの価格圧力が強まり、新たな課題に直面します。

海外展開と経営改革

1993年、楠橋紋織は中国江蘇省南通市に中国法人である南通楠橋紋織有限公司を設立しました。これは、海外生産拠点を持つことで、コスト競争力を高めるための戦略的な決断でした。しかし、中国からの安価なタオル流入により、今治のタオルメーカー全体が苦境に陥ります。楠橋紋織も2000年代に入って業績が悪化し、外部から社長を迎え、経営の立て直しを図ることとなりました。

ブランド戦略と再生

2006年に四国タオル工業組合が「今治タオルプロジェクト」を開始すると、楠橋紋織は自社ブランドの開発に力を入れました。そして2018年、満を持して高級タオルブランド「ROYAL-PHOENIX of the seas」を販売開始。高品質な素材と独自の製法にこだわり、高級ホテルや百貨店を中心に販路を拡大しています。

事業所

本社・工場: 愛媛県今治市宅間甲319
東京オフィス: 東京都中央区日本橋人形町2-21-10セブンビル5F
大阪オフィス: 大阪府大阪市中央区本町1-5-6山甚ビル7F
南通楠橋紋織有限公司: 中華人民共和国江蘇省

沿革

1931年: 楠橋三郎治工場として創業。織機6台でタオルの生産開始。
1937年: 国内初の刺繍織物装置・ラペット織機を発明。楠橋紋織織物工場を設立。その後、楠橋紋織工場に社名変更。
1949年: 大阪出張所を開設。
1950年: 昭和天皇行幸。
1951年: 株式会社に改組し、「楠橋紋織株式会社」設立。
1957年: 国内初となるプリントタオルを販売（諸説あり）。
1959年: 坂本式自動織機を導入。
1980年: 革新織機を本格導入。
1988年: 東京オフィスを開設。
1993年: 南通楠橋紋織有限公司を設立。
2006年: 有限会社ケイ・エンブロイ設立。しまなみセンイ協同組合設立。
2010年: 二川浩樹広島大学教授が開発した特許を用いた抗ウィルスタオルを販売開始。
2018年: 高級タオルブランド「ROYAL-PHOENIX of the seas」の販売開始。

関連企業

楠産業株式会社: タオル製品の縫製・加工・箱詰・梱包・販売
有限会社ケイ・エンブロイ: タオル製品の加工・刺繍
しまなみセンイ協同組合: 資材の共同購買、外国人技能実習生の受入・職業紹介事業
* 南通楠橋紋織有限公司

楠橋紋織は、今治タオル工業組合の一員として、地域経済の活性化にも貢献しています。また、初代創業者の楠橋三郎治の義理の息子である村上敏明が創業した溶接メーカー、四国溶材とは本社・工場が隣接しており、地域における産業ネットワークを形成しています。

楠橋紋織株式会社 公式サイト

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