楠部彌弌

楠部彌弌（くすべ やいち） - 日本の陶芸家

楠部彌弌は、1897年9月10日に京都市東山区で生まれ、本名は彌一です。日本の陶芸界において重要な存在として知られる彼は、独自の釉薬技法「彩埏」によって色彩豊かな陶磁器を生み出しました。彼の作品は観賞する人々に深い感動を与え、陶芸界に大きな影響を与えています。

生い立ちと教育

楠部は、楠部貿易陶器工場を経営していた父の下に生まれました。教育は、1912年に京都市立陶磁器試験場附属伝習所に入所することで始まり、1915年に卒業しました。この学校での教育を受けた後、彼は陶芸に対する深い愛情と技術を確立していきます。

初期の活動

1918年、彌弌は八木一艸や河村己多良らと共に「赤土社」を設立しました。この団体は、日本の陶芸の発展を目的としていましたが、1923年に自然消滅しました。彼は1924年に「百仏飾壷」をパリ万国博覧会に出品し、国際的な評価を受けることになります。これにより、彼は陶芸家としてのキャリアを大きく飛躍させました。

技術の発展

1927年には八木一艸らと新たに「耀々会」を結成。さらに、1933年には帝展で出品した「青華甜瓜文菱口花瓶」が特選に選ばれるなど、数々の受賞歴を誇っています。この成功によって、彼は「彌弌」の名前を名乗り始め、以後の作品でもその名が際立つこととなりました。

戦後の活動と受賞

戦後の1948年には京都工芸作家団体連合展を組織し、日展をボイコットしました。しかし、1951年には芸術選奨文部大臣賞を受賞し、再び陶芸界での存在感を示しました。1953年に結成した青陶会では、多くの若手陶芸家の指導に努め、この分野での発展に尽力しました。さらに彼は日本芸術院賞を受賞し、1962年には日本芸術院会員に選ばれました。

功績と栄誉

彼の業績は陶芸の枠を超え、文化的な貢献も評価されました。1969年には京都市文化功労者に、1972年には毎日芸術賞を受賞し、1975年には京都市名誉市民に選ばれました。また、1978年には文化勲章を受章するなど、数多くの栄誉を享受しました。1982年には日本新工芸家連盟の会長に就任、陶芸の普及に寄与しました。

人生の終焉

1984年12月18日、慢性腎不全により京都で亡くなりました。彼はいかなる時も陶芸に情熱を注ぎ続け、その作品は今もなお多くの人々に愛され続けています。死後、彼は従三位に叙せられ、その偉大な業績が後世に語り継がれることでしょう。

関連項目

• - 民藝運動
• - 黒田辰秋
• - 濱田庄司
• - 河井寛次郎

このように、楠部彌弌は日本陶芸界の発展に力を尽くし、その独特な作品は多くの人々に感動を与え続けています。

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