楢原静

楢原静

楢原静（ならはら しずか、1928年5月6日 - ）は、広島県三原市出身の卓球選手。戦後の日本において、卓球界に輝かしい功績を残した人物である。

生い立ちと卓球との出会い

父親が日本卓球協会に関わっていた影響で、幼い頃から卓球に親しむ環境にあった。広島県立三原高等女学校（現広島県立三原高校）に入学後、卓球部に入部するも、太平洋戦争の影響で一時廃部となる。その後、広島女子専門学校（現広島県立大学）に進学し、当時山口県柳井市に住んでいた田舛彦介（タマス創業者）から本格的な指導を受ける。

プレースタイルと実績

楢原は、相手の強打やカット球に対し、台から離れずに速いピッチで対応する前陣速攻を得意とした。その強気なプレースタイルで、すぐに頭角を現し、1948年には西日本学生1位、1950年には国体、全日本卓球選手権大会を制覇し、日本チャンピオンとなる。1949年に入社した帝人三原でも、第1回全国実業団選手権女子シングルスで優勝を飾る。

世界卓球選手権での快挙

1952年2月、日本が初参加した第19回世界卓球選手権（ボンベイ）で、楢原は西村登美江とペアを組み、団体戦、ダブルスで優勝という偉業を成し遂げた。特に、ダブルスでは、英国のロザリンド、ダイアン・ロウの双子姉妹を破っての優勝であった。この勝利は、日本卓球界にとって初の世界王者の誕生であると同時に、アジア人としても初の快挙であった。戦後日本の全アマチュアスポーツが世界に復帰してからは、五輪、世界選手権を通じても最初の金字塔となった。なお、卓球がオリンピックの正式種目となったのは、ずっと後年の1988年ソウルオリンピックからである。二人の優勝者には、金メダルの代わりに、ライオンを彫った象牙のトロフィーが贈られた。

引退後

同年、結婚を機に山脇姓となり、23歳という若さで競技生活から退いた。その後は、茶道教授として活動する傍ら、ママさん卓球の指導にもあたり、日本卓球協会のレディス委員会副委員長などを務めた。妹の楢原静世も卓球選手として活躍した。

楢原静は、戦後の日本において、卓球というスポーツを通して、多くの人々に希望と勇気を与えた。彼女の功績は、日本のスポーツ史に永遠に刻まれるだろう。

外部リンク

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