極東映画

極東映画株式会社の歴史と影響

極東映画株式会社は、1935年2月に設立され、1941年に合併するまで活動していた日本の映画制作会社です。最初は西宮でスタートし、その後、大阪に移転しました。設立からわずか2年後の1937年には、極東キネマ株式会社に改組されるなど、社名の変更がありました。主に若者向けに特化した剣戟映画を製作し、多くの作品を世に送り出しました。

設立と初期の作品

会社は、京都の御室撮影所を仮撮影所として利用し、正式に撮影を開始しました。設立第1作となった『益満休之助 比叡の巻』は、仁科熊彦の監督のもと、直木三十五の小説を基に脚色され、1935年3月に公開されました。この作品は、同社のスタートを切るものでした。

設立から4月後には、仮撮影所を離れ、西宮市甲陽園にある甲陽撮影所に移転しました。さらに1936年には、大阪府の白鳥園に新設した極東キネマ古市白鳥園撮影所へと移ります。この移転に伴い、著名な俳優たちが新しい撮影所に集結しましたが、同時に一部のスタート俳優たちは甲陽映画を設立するために甲陽園に残りました。

製作した映画とスタイル

極東映画は、剣戟映画を中心に、多数の作品を手掛けました。例えば、1935年には『益満休之助 江戸の巻』や『荒木又右衛門』などが公開され、甲陽撮影所では『権三助十 捕物大騒動』が製作されました。1936年から1941年の間に、極東映画は毎年30本以上の作品を生産しましたが、中にはトーキー移行の波に対抗し、サイレント映画も制作し続けるというユニークな姿勢を貫いています。

特に成功を収めたのは『怪談累ヶ渕』や『変幻羅生門』などの作品で、これらは日本の映画史の中でも特に評価されています。1940年にはトーキーに移行した作品も出てくるなど、時代の潮流にも適応していきました。

合併と閉鎖

しかし、1940年には大阪の梅田劇場に合併され、大宝映画株式会社に変更されましたが、実質的には大宝映画は新作を製作することなく、1941年には『燃ゆる魂』が最後の公開作品となりました。極東映画は、合併前の最後の作品まで数々の名作を世に送り出しましたが、時代の変遷とともにその役割を終えるに至りました。

影響と遺産

極東映画の功績は、特に剣戟映画のジャンルにおける影響の大きさにあります。この会社の成立は、当時の映画業界に新たな風を吹き込み、数多くのファンを魅了しました。また、会社が使用していた撮影所は、後に商業施設として再利用されています。現在、古市撮影所の跡地にはイズミヤ古市店が立地しています。

極東映画株式会社は、短い期間ながらも日本の映画産業で強い影響力を持ち、現在でもその記憶は受け継がれています。

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