在米日本人社会主義者団

在米日本人社会主義者団について

在米日本人社会主義者団（ざいべいにほんじんしゃかいしゅぎしゃだん）は、1918年8月に片山潜を核にして若手の社会主義者たちによって組織された団体です。この団体は、アメリカにおけるコミンテルン（共産主義インターナショナル）と日本国内の社会主義者との間の重要な中継役を果たし、結果的に日本共産党の設立に対して大きな影響を与えたことから、現在では日本共産党の源流の一つとして広く認識されています。

結成の背景

幸徳事件（大逆事件）後、社会主義者としてアメリカに亡命した片山潜は、1916年から1917年にかけて、日本政府に対する大規模な示威運動を目指して日本人社会主義者の組織化に尽力していました。1918年8月には、ロシア十月革命や米騒動などの影響を受けて、ニューヨークの自宅に集まる青年たちを中心にマルクス主義理論の研究会を立ち上げました。最初のメンバーには、田口運蔵、野中誠之、間庭末吉、渡辺春男、近藤栄蔵、河本弘夫などが名を連ね、会員は10数人に達しました。

主要な活動

団体の結成から数ヶ月後の1919年5月、近藤栄蔵が帰国し、日本国内の社会主義者に対してコミンテルンへの加盟を促しました。さらに、同年9月にはアメリカ共産党が成立し、片山はその幹部として選出され、猪俣や鈴木も「日本人部」の一員として活動しました。10月には、片山らによる「在米日本人社会主義者団声明書」が発表され、ワシントンで開催された第1回国際労働会議において、日本の労働問題を広くアピールするための活動が行われました。

その結果、日本代表は国際的な非難を浴び、厳しい資格審査を受けることとなりました。こうした活動を通じて、在米日本人社会主義者団は初めてその存在を社会に知らしめることとなりました。

組織の展開

1920年に入ると、在米日本人社会主義者団は日本社会主義同盟準備会に対して、コミンテルン加盟の呼びかけを行いました。その後、1921年には日本共産党暫定執行委員会が東京で設立され、近藤もこの新組織に参加しました。さらに、1922年のコミンテルン第3回大会へは在米の田口が参加し、その後も一部のメンバーがロシアに渡って大会に参加しましたが、これにより在米メンバーの活動が停滞しました。同年11月には団体が解散し、参加者の多くは第一次日本共産党の設立に合流しました。

その後、彼らは共産党内のさまざまな動きに影響を与えつつ、「アナ・ボル提携」という新たな運動を促進させていくこととなりました。

意義と評価

在米日本人社会主義者団は、片山がコミンテルンと連携していたことから、日本の社会主義者に対する重要な働きかけを行いました。しかし、アメリカに亡命している間の活動家と、日本に残された活動家との関係が必ずしも良好ではなく、しばしば蔑称で呼ばれることもありました。このため、共産党の結成に対する貢献は、後に長らく忘れ去られることになりました。

この団体は、日本における社会主義運動の歴史の中で重要な役割を果たしたことを評価されており、今日ではその活動の意義が見直されています。

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