極楽寺 (北上市)

極楽寺（ごくらくじ）

極楽寺は、岩手県北上市稲瀬町に位置する真言宗智山派の寺院です。その起源は、平安時代に国見山一帯に栄えた大規模な山岳仏教寺院に遡ります。山号は国見山、または金福山と称されています。

概要

北上市街地の東方、北上川の東岸にそびえる国見山（標高244メートル）。その山上一帯には、仏堂や仏塔の遺跡が点在しており、かつてこの地に壮大な仏教伽藍が存在したことを物語っています。この寺院跡は、「国見山廃寺跡」として国の史跡に指定されています。

『日本文徳天皇実録』によれば、天安元年（857年）には「陸奥国極楽寺、定額寺に預かり」との記述があり、この「極楽寺」こそが国見山廃寺を指すと推定されています。寺院の創建は平安時代初期の9世紀と考えられ、発掘調査の結果からは、10世紀から11世紀にかけて最盛期を迎えたことが示唆されています。伝承によれば、坂上田村麻呂が異敵降伏のため毘沙門天を祀ったのが始まりとされています。

現在、国見山南麓の谷奥には、極楽寺の寺号を継承する小寺院が残っています。また、極楽寺の近隣にある如意輪寺や、国見山北麓の立花毘沙門堂（万福寺）も、かつての極楽寺の坊舎の跡であると考えられています。特に立花毘沙門堂には、木造毘沙門天立像と木造二天像（いずれも国の重要文化財）が安置されており、貴重な文化財を今に伝えています。

文化財

極楽寺が所蔵する以下の文化財は、国の重要文化財に指定されています。

銅竜頭 4頭：平安時代の作
銅錫杖頭 1柄：平安時代の作

参考文献

『日本歴史地名大系 岩手県の地名』、平凡社、1990（「国見山廃寺」の項）

関連項目

日本の寺院一覧
岩手県の観光地
極楽寺 (曖昧さ回避)

外部リンク

* 国見山廃寺跡

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