極超音速誘導弾

極超音速誘導弾

極超音速誘導弾は、日本が開発を進めている対艦・対地ミサイルであり、反撃能力整備の一環として調達が計画されています。

概要

本ミサイルは、従来の超音速ミサイルを大幅に上回るマッハ5以上の極超音速での飛行を可能とし、高い残存性を実現するためにスクラムジェットエンジンを搭載することを目指しています。要素技術の研究は2019年度から2025年度にかけて行われました。

要素技術研究に続き、運用実証型研究によって早期装備化を目指した研究が開始されます。2023年の防衛力整備計画にはスタンド・オフ・ミサイル導入計画が盛り込まれ、極超音速誘導弾の研究には2023年度から2031年度にかけて総額1,851億円が投じられる予定です。事前の事業評価では、遠方海域の防空能力が高い海上目標や地上目標への攻撃を目的としていることが示されています。2023年度の防衛予算には、この研究開発のために585億円が計上されました。

設計

2023年版防衛白書には、地上および潜水艦から本ミサイルが発射される様子が描かれた図が掲載されています。

極超音速誘導弾の研究に関する2022年度の事業評価資料に掲載されたイメージ図では、発射機は6連装の8輪車両となっています。これは現在運用中の12式地対艦誘導弾と同様の形態です。しかし、この発射車両のイメージは実際の計画とは関係がないとみられています。別の資料である「島嶼防衛用高速滑空弾（能力向上型）」では、極超音速誘導弾のブースターとロケットモーターを共通化することで、設計活動の大幅な低減を図ることが示されています。島嶼防衛用高速滑空弾（能力向上型）は極超音速滑空体（HGV）に分類され、そのロケットモーターは射程3000km級の中距離弾道ミサイルのロケットモーターと同規模であり、直径90cm級と推定されています。

ブースターの大きさから推定すると、極超音速誘導弾の発射重量は6～9トンに達する可能性があり、射程は2000～3000km級と推定されます。これは、ロシアの3M22 ツィルコンの2～3倍の規模であり、スクラムジェットエンジンを搭載した極超音速巡航ミサイルとしては、他国の計画と比較しても類を見ない大きさとなります。

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