12式地対艦誘導弾

12式地対艦誘導弾（12SSM）

12式地対艦誘導弾は、日本の陸上自衛隊が装備する先進的な地対艦ミサイルシステムであり、2012年度から本格的な調達が開始されました。このシステムは、89式地対艦誘導弾（SSM-1）の後継と位置づけられており、当初は改良型として88式地対艦誘導弾（SSM-1(改)）としても知られていました。

概要

開発は平成13年度から行われ、総開発費は約138億円が投じられました。12式は艦船による対艦ミサイルの迎撃能力の向上に対応し、主に誘導弾の生存性を高めることが目的とされています。システム構成は88式とほぼ同様ですが、発射装置の外観は大きく変更されており、容易に区別できるようになっています。

このシステムは、以下のコンポーネントから成り立っています:

• - 捜索標定レーダー装置：2基（1/2tトラックに搭載）
• - 中継装置：1基（同上）
• - 指揮統制装置：1基（3 1/2tトラックに積載）
• - 射撃管制装置：1基（同上）
• - 発射機搭載車両：1-4輌と誘導弾6発（1輌当たり）
• - 弾薬運搬車：1-4輌と予備弾（6発を7tトラックに搭載）

発射機の設計変更により、発射機搭載車両は重装輪回収車と共通の車体を使用し、誘導弾体を収める容器は従来の丸型から角型に変更されました。これにより、現役の03式中距離地対空誘導弾の発射装置搭載車両に似た形状になっています。さらに、発射機搭載車両には88式地対艦誘導弾も搭載可能です。

特徴

12式地対艦誘導弾は、88式地対艦誘導弾に比べて以下の面で優れています:

• - 射撃能力の向上
• - 目標情報の更新能力の強化
• - 目標の大小判別機能および指揮統制機能の改善
• - 命中精度のばらつきの低減
• - 再装填時間の短縮
• - 残存性の向上
• - 同時弾着機能の高精度化
• - 高射角での発射能力の実現
• - 地形追随機能の強化
• - ライフサイクルコストの抑制

誘導方式としては、従来の慣性誘導とアクティブレーダーホーミングに加え、GPS誘導が導入されています。

調達と配備

初年度の予算で発射機車両および誘導弾が計上され、陸上自衛隊富士学校特科部や武器学校に配備されました。また、富士総合火力演習にも参加しており、その存在感を示しています。特に、中国人民解放軍海軍の動向に対抗するため、西部方面特科隊に多くのシステムが配備されました。

配備部隊・機関

---

陸上自衛隊富士学校 では教育用に1両

---

特科教導隊（富士教導団）に部隊育成用として4両

---

西部方面特科隊へは16両が配備されています。

派生型

12式地対艦誘導弾の技術を活用した後続システムとして17式艦対艦誘導弾（SSM-2）が開発され、射程の延伸、誘導精度の向上が図られています。また、さらなる長射程化が進められる12式地対艦誘導弾能力向上型の開発も決定され、様々なプラットフォームからの発射が可能となる予定です。

このように、12式地対艦誘導弾は日本の防衛力を支える重要なシステムとして注目されています。

もう一度検索