楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

『楽園のカンヴァス』（らくえんのカンヴァス）は、日本の作家、原田マハによる小説です。この作品は、2010年9月から2011年6月まで『小説新潮』に連載され、「夢をみた J'ai rêvé」というタイトルが付けられていました。

2012年1月20日に新潮社から単行本として発売され、同年には第25回山本周五郎賞を受賞しました。また、2015年5月1日には文庫版が刊行され、さらに2018年にはフランス語版が出版されています。単行本のカバーアートには、著名な画家アンリ・ルソーの作品『夢』（1910年）が採用されています。

あらすじ

物語は、ソルボンヌ大学院で博士号を取得した26歳の早川織絵を中心に展開します。彼女は、国際美術史学会で注目されるアンリ・ルソーの研究者であり、その知識と情熱をもって美術界に影響を与えています。一方、ティム・W・ブラウンはニューヨーク近代美術館（MoMA）のアシスタント・キュレーターであり、彼もまた美術への深い愛情を持っています。

物語の舞台がスイスのバーゼルに移ると、コレクターのコンラート・バイラ―が登場します。彼は自らの邸宅に織絵とティムを招き、彼が所有するルソーの晩年の作品「夢」と非常に似ている絵画「夢をみた」について、真作か贋作かの判断を一週間以内に行うよう依頼します。この挑戦は、二人にとって大きな意味を持つことになります。作品に対する情熱や、彼らの専門的な知識が試される中で、美術品の真価を巡る心理戦が繰り広げられます。

主な登場人物

• - 早川織絵: 大原美術館の監視員であり、日本人女性として、自身の文化的背景を生かしつつ美術の世界に足を踏み入れています。
• - ティム・W・ブラウン: ニューヨーク近代美術館のキュレーターであり、作品の評価に情熱を注いでいます。

書評

本書は多くの書評家からも高く評価されています。著名な小説家、逢坂剛は「著者は本来ミステリー作家ではないはずだが、本作品はその構成が見事で、読者を飽きさせることがない」と述べています。また、書評家の大森望は、「ゲラで読んだ際には驚きを禁じ得なかった。原田マハがこんなに堂々たるエンターテイメントを生み出すとは」と評価し、作品のユニークさを称賛しています。

KADOKAWAによるウェブサイト「ダ・ヴィンチニュース」では、「ミステリーとしての謎の設定や構成の美しさに加えて、キャラクターたちの絵画に対する情熱の深さに圧倒された」との声も寄せられています。

このように、『楽園のカンヴァス』は美術に対する理解と情熱を糧に、魅力的なストーリーを展開する作品となっています。美術やミステリーに興味がある方には特におすすめの一冊です。

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