楽園への憧憬

楽園への憧憬

『楽園への憧憬』は、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド、マリリオンによる1991年のスタジオ・アルバムで、バンドにとって6枚目のリリースです。このアルバムは、ボーカリストのスティーヴ・ホガースが加わった後の2枚目の作品であり、バンドの新たな音楽的方向性を反映しています。

背景

マリリオンは当初、プロデューサーとしてクリス・キムゼイを起用することを検討していましたが、彼が他のプロジェクトに専念しているため、クリストファー・ニールが招かれることとなりました。ニールはシーナ・イーストンやマイク・アンド・ザ・メカニックスなどのアーティストと協力してきた実績を持ち、彼の参加によりアルバムに新しい風が吹き込みました。中でも「ドライ・ランド」は、ホガース加入前に彼が活動していた「How We Live」の楽曲で、ニールがこの曲をマリリオンのスタイルで再録音することを提案しました。

また、本作からアメリカの配信元がキャピトル・レコードからI.R.S.レコードに変更され、アメリカ盤CDにはシングルB面曲「A Collection」と「How Can It Hurt」が追加されるなど、国によって異なるバージョンがリリースされました。

反響・評価

『楽園への憧憬』は、全英アルバムチャートで7週間の連続上位となり、最高7位を記録しました。これはバンドにとっての7作目の全英トップ10アルバムであり、多くのリスナーに支持されました。先行シングルの「カヴァー・マイ・アイズ」は全英シングルチャートで34位に達し、その後「誰も君を僕から」と「ドライ・ランド」のシングルも同じくニューバランスを示しました。

音楽評論家による評価は分かれます。オールミュージックのTom Demalonは5点満点中2.5点を付け、「シングルがチャート入りしているが、バンドの個性が薄れた印象だ」と述べました。一方で『CDジャーナル』は「ホガースの加入後、バンドがさらに円熟してきた」と高く評価しています。このように、評価には賛否がありましたが、アルバムはリスナーの心に深く残る作品となりました。

収録曲

収録された楽曲は以下の通りで、特記のない楽曲はメンバー全員の共作で構成されています。

1. 痛む心 - "Splintering Heart" - 6:52
2. カヴァー・マイ・アイズ - "Cover My Eyes (Pain and Heaven)" - 3:55
3. 狂おしき宴 - "The Party" - 5:36
4. 誰も君を僕から - "No One Can" - 4:39
5. 楽園への憧憬 - "Holidays in Eden" - 5:28
6. ドライ・ランド - "Dry Land" - 4:42
7. ウェイティング・トゥ・ハプン - "Waiting to Happen" - 4:55
8. すべてを変えるこの街で - "This Town" - 3:18
9. ザ・レイクス・プログレス - "The Rakes Progress" - 1:54
10. 100の夜と1,000の空のグラス - "100 Nights" - 6:42

また、アメリカ盤CDには追加曲も収録されています。

参加ミュージシャン

本アルバムには以下のミュージシャンが参加しました。

• - スティーヴ・ホガース - ボーカル、バッキング・ボーカル
• - スティーヴ・ロザリー - ギター
• - マーク・ケリー - キーボード
• - ピート・トレワヴァス - ベース、バッキング・ボーカル
• - イアン・モズレイ - ドラムス、パーカッション

さらに、クリストファー・ニールがバッキング・ボーカルで参加しています。アルバムはマリリオンの音楽性の進化を示す重要な作品であり、リスナーにとっても心に残る名盤となっています。

もう一度検索