楽陵郡

楽陵郡は、中国の歴史において、後漢末期から隋の時代にかけて存在した郡です。現在の山東省楽陵市を中心とする地域に設置され、その行政区画や所属、変遷は時代とともに変化しました。

楽陵郡の成立と変遷

楽陵郡は、220年（後漢の建安25年）に、平原郡が分割される形で成立しました。当初は冀州に属し、郡の行政中心地である郡治は厭次県に置かれました。この地域は、政治的にも重要な拠点であり、その後の歴史に深く関わっていきます。

243年（魏の正始4年）には、三国時代の魏において、曹茂が楽陵王に封じられたことにより、楽陵郡は楽陵国へと改められました。これにより、郡としての行政機能に加えて、王国の統治という新たな側面を持つことになります。

晋の時代になると、楽陵国は再び郡としての形態を取り戻し、厭次・陽信・湿沃・新楽・楽陵の5県を管轄しました。この地域は、依然として重要な戦略拠点であり、各王朝の統治下でその役割を果たし続けました。

南北朝時代に入ると、517年（北魏の熙平2年）に楽陵郡は冀州から滄州へと所属が変更されました。北魏の楽陵郡は、楽陵・陽信・厭次・湿沃の4県を管轄し、この地域における行政区分が再編されました。

隋の時代に入り、583年（開皇3年）に隋が郡制を廃止した際、楽陵郡も廃止され、滄州に編入されることとなりました。これにより、楽陵郡としての歴史は一旦幕を閉じることになります。

僑置楽陵郡

南北朝時代には、南朝宋によって僑置楽陵郡が置かれました。これは、本来の楽陵郡が北魏の統治下にあったため、臨時に設けられたものです。現在の山東省浜州市一帯に相当し、宋の楽陵郡は青州に属し、楽陵・陽信・新楽・厭次・湿沃の5県を管轄しました。しかし、皇興年間に北魏の慕容白曜によってこの地が奪われました。北魏も青州楽陵郡を設置し、陽信・楽陵・厭次・新楽・湿沃の5県を管轄しました。

このように、楽陵郡は時代の変遷とともに、その形態や所属を変えながらも、中国の歴史において重要な役割を果たし続けました。その名は、楽陵市として現代にも残っています。

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