榊原亨

榊原 亨の業績と生涯

榊原亨（さかきばら とおる、生年1899年11月3日 - 死亡1992年1月27日）は、日本の医学者であり政治家で、特に心臓外科の分野において先駆者として広く知られています。大正末から昭和期にかけて、彼は医療と政治の両面で多くの貢献を果たしました。

幼少期と教育

福井県福井市の宝永上町に生まれた彼は、幕臣である榊原職直の子孫としての家系に生まれました。開業医の家庭に育ち、第四高等学校を卒業後、1925年に九州帝国大学医学部を卒業しました。この時期に医学の基礎を築き、後の業績に向けた土台を固めました。

医学者としての歩み

卒業後、金沢医科大学（現在の金沢大学）に赴任し、副手や助手としての経験を積みました。特に泉伍朗教授の下で脾臓手術を行い、その手腕を認められるとともに、岡山医科大学（現在の岡山大学医学部）で講師、助教授としての地位を築きました。ここで収縮性心包炎に関する手術に成功し、医療界での評価を確立しました。

1932年には、岡山市内山下に榊原外科病院を開設し、さらに1934年には日本臨床外科医学会を設立。心臓手術にも取り組み、1936年には国内初の成功例を記録しました。また、1939年には世界初の心臓内視鏡を開発するなど、心臓外科の発展に大きく寄与しました。

政治活動

戦後、1946年には岡山県医師会の会長に就任し、翌年には新生日本医師会設立委員会の委員長として機構改革に尽力しました。1950年からは日本医師会の副会長も務め、医療制度の整備に影響を及ぼしました。

また、彼は医師仲間の強い推薦を受けて、1947年の衆議院議員総選挙に日本自由党から出馬し当選。続いて1953年の参議院議員選挙にも立候補し、自由党から当選して参議院議員を務めました。この間、彼は内閣の行政管理政務次官なども務め、医療や社会保険に関する法規の整備に尽力しました。

晩年と受章

栄えある業績に対しては、1974年の叙勲で勲三等旭日中綬章を受章しました。1992年1月27日、老衰により東京都保谷市の自宅で92歳で他界しました。この際、彼の死去に伴い正七位から従四位に叙されました。

著作と家族

榊原亨は、兄弟の榊原仟との共著で『心臓外科』という著作を1954年に出版しました。この書籍は、彼の医学的業績を広める一助となりました。家族には、外科医として活動する長男の榊原宣や、弟の榊原仟もおります。

榊原亨の生涯は、心臓外科の発展のみならず、医療制度の改革や政治の支援を通じて現代の医療にも多くの影響を与えました。彼の功績は今なお多くの医療関係者に敬意を表されており、日本における医療の歴史に名を刻む存在となっています。

もう一度検索