榎本スミ

榎本スミ（えのもと すみ、1816年5月6日 - 1893年5月12日）は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した医師であり、特に女性医師として名を馳せました。別名として、榎本住とも表記されます。

生涯

榎本スミは、文化13年4月10日に大和国戸毛村（現在の奈良県御所市）で、代々医師の家系である家庭の長女として誕生しました。幼少の頃から医学に触れる機会が多く、自然と医師への道を志すようになったと考えられます。

1839年（天保10年）に実父が亡くなったことを受け、家業を継承する形で医師としての活動を開始しました。当時の社会において、女性が医師として働くことは極めて稀であり、彼女の存在は周囲の注目を集めました。医療技術の高さと献身的な姿勢で多くの患者を救い、次第にその名声は広まっていきました。

榎本スミは、地域医療に貢献する傍ら、著名な人物の治療も担当しました。豪商である土倉庄三郎の主治医を務め、彼の健康管理に尽力しました。また、1863年（文久3年）に発生した天誅組の変においては、負傷者の治療に奔走しました。特に、天誅組の指導者であった吉村虎太郎が敵の銃弾を受けて重傷を負った際には、献身的な治療を行い、その容態回復に大きく貢献しました。

晩年には、彼女の功績を称え、「女医榎本住記念碑」が建立されました。これは、彼女の医療への貢献と、女性が社会で活躍する道を切り開いた功績を後世に伝えるためのものです。

榎本スミは、困難な時代に女性でありながら医師として活躍し、多くの人々の命を救いました。彼女の生涯は、医療における女性の地位向上に大きく貢献しただけでなく、地域社会への貢献においても特筆すべきものがあります。その功績は、記念碑として今もなお語り継がれています。

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