構 (刑罰)

構（かまい/かまえ）

「構」という用語は江戸時代において用いられた法律用語であり、主に特定の地域や集団からの排除を示すものです。この言葉は大きく分けて2つの意味を持ち、いずれも排除の概念が根底にあります。

追放刑と御構場所

まず、構の一つ目の意味は追放刑に関連しています。追放刑、または払とも呼ばれるその刑は、特定の居住地から個人を排除する措置を指しました。江戸時代の初期には、国外追放の事例も存在し、例えばキリシタンなどがそうした対象となりました。追放刑に際しては、立入禁止区域として「御構場所（おかまいばしょ）」や「御構地（おかまいち）」が定められていました。

享保年間に制定された『公事方御定書』によると、御構場所は刑の軽重によって設定され、違反してその地に踏み入った場合には、より厳しい追放処分を受けるリスクがありました。

具体的には、追放の重さは以下のように分類されていました：

• - 重追放: 主に関東や関西、またその周辺地域からの追放。
• - 中追放: 一部の地域や特定の通路を対象とした追放。
• - 軽追放: 江戸十里四方と呼ばれる地域、主に江戸を中心とした範囲が含まれます。

この江戸十里四方の追放においては、日本橋を中心に半径約10里の地域が設定され、居住地に基づいて構が科されました。さらに、江戸市内の特定地域も御構場所とされていました。

所属集団からの排除

構のもう一つの意味は、集団あるいは組織からの排除に関連しています。武士階級においては、「奉公構（ほうこうかまい）」と呼ばれる処分がありました。これは家臣が主君に背いて主従関係を解消するときに、将来他家へ仕官することを禁止する措置です。著名な例として、後藤基次や塙直之が奉公構を受けた事件が知られています。この制度は寛永12年に改正された武家諸法度によって正式に認められ、幕府による統制を強化する意図がありました。

また、僧侶や尼僧についても様々な構が適用され、例えば居住寺院からの退去や宗教組織からの追放が行われました。これらの措置には身支度を許可された場合の退院や、許可されない追院、特定の宗派からの排除などが含まれます。

近代以降の変化

明治維新が進むと、追放刑は停止され、四民平等政策の導入により身分的制約が大きく緩和されました。その結果、構の制度は事実上消滅し、江戸時代特有の法律用語として歴史の中に埋もれていくこととなります。このように、「構」は江戸時代の法律や社会構造に深く根ざした用語であり、その背景にはさまざまな社会状態や価値観がありました。

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