樋口まち子

樋口まち子氏は、日本の看護学者であり、医療人類学者です。長年にわたり国立看護大学校で教鞭を執り、看護学分野の発展に貢献しました。彼女の専門は、看護学と医療人類学であり、特に国際的な視点からの研究に力を注いでいます。

学歴と職歴

樋口氏は、1981年に法政大学経済学部を卒業後、1984年に東京女子医科大学看護短期大学を卒業しました。その後、看護師として臨床経験を積む中で、より深い学術的な探求を目指し、海外大学院への進学を決意します。1993年には、タイのマヒドン大学でプライマリヘルスケア管理学の修士号を取得し、1998年にはスリランカのコロンボ大学で医療人類学の博士号を取得しました。

学術的なキャリアの初期には、文部科学省在外研究員としてミシガン大学ヘルスプロモーション研究センターに勤務した経験も持っています。また、保健師としての実務経験も持ち合わせています。さらに、青年海外協力隊員としてスリランカに赴任し、現地の医療・保健活動に貢献しました。その後、外務省在スリランカ日本大使館専門調査員として、シンハラ・タミル民族問題に関する調査研究に従事しました。JICAスリランカ看護教育プロジェクト専門家としても、技術協力に携わるなど、スリランカの医療・保健分野の発展に尽力しました。

10年以上に及ぶアジア諸国での生活経験を経て、2000年に岡山大学医学部講師・助教授、2004年には静岡県立大学看護学部教授に就任しました。そして、2007年には国立看護大学校教授に就任し、後進の育成に努めました。2022年に定年退職を迎えましたが、現在も研究活動を継続しています。

研究分野と著書

樋口氏の研究は、看護学と医療人類学の融合を軸としています。特に、異文化における健康観や医療実践、国際保健における看護師の役割など、幅広いテーマに取り組んでいます。その研究成果は、数多くの著書や論文として発表されています。

単著

『Traditional Health Practices in Sri Lanka』（VU University Press, The Netherlands、2002）
『もうひとつの島国・スリランカ-内戦に隠れた文化と暮らし』（ぶなのもり、2006）

共著

『Mentoring in Nursing through Narrative Stories Across the World』(Springer、2023)
『国際看護学』（メヂカルフレンド社、2023）
『ケースで学ぶ国際開発』（東信堂、2011）
『社会の中の看護』（日本看護協会出版会、2011）
『アジアを学ぶ-海外調査研究の手法』（勁草書房、2011）
『スリランカを知るための58章』（明石書店、2013）
* 『看護学辞典』(メヂカルフレンド社,2013)

これらの著書を通じて、スリランカの文化や医療事情、国際看護の重要性、開発途上国における看護の役割など、多岐にわたるテーマについて深く掘り下げた考察を展開しています。

まとめ

樋口まち子氏は、看護学、医療人類学の分野において、国際的な視点から重要な貢献をしてきた学者です。彼女の研究は、異文化理解と国際保健の発展に大きく貢献しています。また、教育者として次世代の看護師育成にも力を注ぎ、その功績は看護学分野に大きな影響を与えています。彼女の長年にわたる研究活動と教育活動は、多くの人々に影響を与え、今後の国際看護学の発展に繋がるでしょう。

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