樋口敬二

樋口 敬二について

樋口敬二（ひぐち けいじ、1927年11月26日 - 2018年10月19日）は、日本の著名な雪氷物理学者であり、名古屋大学の名誉教授です。彼の研究は、気候変動や雪氷に関する理解を深め、業界や学界において高く評価されています。

生い立ちと教育

樋口は朝鮮半島の木浦で生まれましたが、その後京都で育ちました。彼の学問への関心は早くから芽生え、第三高等学校時代には氷の実験に取り組みました。1949年には北海道大学に入学し、中谷宇吉郎に師事しました。1952年には北大理学部を卒業し、1955年には同大学院で研究奨学生としての前期課程を修了しました。1960年には理学博士の学位を取得し、その後は北海道大学理学部の助教授として教鞭を執ります。

研究活動と業績

樋口教授は、1961年から1966年までの間、北海道大学の助教授として活動し、航空機を使った降雪雲の観測や「紙の雪」の撒布実験などに取り組みました。1966年には名古屋大学理学部の教授に就任し、現地調査や航空機で雪渓や氷河、永久凍土の観測を行うなど、地球温暖化の影響についてのパイオニア的な研究を進めてきました。特に、雪氷の性質や挙動についての深い理解をもとにした研究は、気象学や地球科学の分野に多大な貢献をもたらしました。

彼の業績は多くの賞に証明されており、1965年には日本気象学会賞、1971年には日本雪氷学会賞、1981年には秩父宮記念学術賞を受賞しました。また、1990年には中日文化賞、1993年には紫綬褒章、2002年には勲三等旭日中綬章を受章しています。

教育・指導

樋口教授の指導を受けた学生には、元国立極地研究所所長の藤井理行や、3Dプリンタの考案者である小玉秀男などがいます。彼は多くの学生に影響を与え、学問の発展に寄与しました。

著書と講演

樋口は多数の著書を執筆し、特に『地球からの発想』（1972年）や『雪と氷の世界から』（1985年）などが知られています。また、地球温暖化に関する啓発活動や講演活動にも積極的に取り組み、一般の人々にも彼の専門分野の重要性を広めました。

死去

2018年10月19日、樋口教授は肺炎により逝去しました。享年90歳。彼の研究業績は後世に引き継がれ、雪氷物理学の発展への大きなステップとなることでしょう。樋口教授の遺した知識や貢献は、今後も研究の道しるべとして多くの人々に受け継がれていくことが期待されます。

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