永久凍土

永久凍土の概要

永久凍土（えいきゅうとうど）は、2年以上にわたり気温が0℃以下に保たれた地盤を指す。この現象は、氷の存在というよりも温度条件に基づいており、英語では「permafrost」という用語が用いられる。これは「permanently frozen ground」の略で、1945年にS. W. MULLERによって初めて使用された。

分布と形成

北半球の約20%の大陸に広がる永久凍土の厚さは、地域によって異なるが、アラスカのプルドー湾では650メートルに達することもある。永久凍土の表層は夏季に融解し、活動層と呼ばれる層が形成される。この活動層は年や地域によって厚さが変わり、一般的には0.6から4メートルほどである。日本では、富士山や大雪山など、多くの地域で永久凍土が確認されており、槍ヶ岳周辺でもその存在が報告されている。

永久凍土は、降雪が少ないツンドラ気候の地域で形成される。気温が氷点下で安定することで凍土が形成され、その深度は季節ごとの温度変化に影響を受ける。年平均気温が0℃近くになると、凍土は部分的に融解し、不連続永久凍土が形成される。通常、年平均気温が－5℃から0℃の範囲では不連続性が現れる。

特徴的な地形

永久凍土の地域には、特有の地形が見られる。例えば、氷楔（ひょうせつ）は凍土内の亀裂に流水が凍結したもので、ポリゴン構造は、その氷楔の存在により地表が多角形に見える形状を示す。また、エドマと呼ばれる土壌層は、氷楔が成長したものを指し、ピンゴは窪地に溜まった水が凍り、地下で突き上げた地形を形作る。アラスは、地下の氷が融解し、沈んだ窪地を表す言葉である。

融解とその影響

最近の研究では、地球温暖化に伴い、アラスカやシベリアの永久凍土が融解していることが報告されている。カナダのユーコン準州では、連続永久凍土が広がった地域が1899年から約100km北上した。永久凍土はメタンハイドレートを含むため、その融解はメタンなどの温室効果ガスを放出し、温暖化を加速させる可能性がある。加えて、永久凍土が人類の居住地やインフラの安定性にも影響を与えることが懸念されている。

また、ロシア北極圏では、融解によって大きな穴が開く現象が見られ、これは永久凍土の強度低下を示唆しているとも考えられている。

生態系と人間の活動

永久凍土地域では、夏季にはタイガやツンドラが広がり、さまざまな生物が生息している。シベリアでは、絶滅したマンモスの化石が良好な状態で発見されることもあり、地学的観点から重要な情報源となっている。しかし、永久凍土が融解することにより、過去の病原体が再び地表に現れるリスクも高まっている。

永久凍土上での建設活動は容易ではなく、凍土の融解による建物の沈下を防ぐために特別な技術が求められます。建物の基礎には、木材やパイルを深く打ち込む、厚い石材を用いる、断熱ヒートパイプを利用するなどの対策が取られています。特にヤクーツクでは、支柱を15メートル以下まで伸ばすことが有効な方法とされています。

これらの対策により、永久凍土地域での建設が可能となり、地域のインフラと生態系の安定性を保つことが重要視されています。

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