樋口泰行

樋口泰行：変革を導くプロ経営者の軌跡

樋口泰行氏は、パナソニック コネクト株式会社の初代代表取締役 執行役員 社長・CEOとして、B2Bソリューション事業を率いる日本の実業家です。そのキャリアは、松下電器産業（現パナソニック）から始まり、日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、マイクロソフト日本法人といった名だたる企業を経て、再びパナソニックへと回帰するという、異色の経歴を辿っています。

生い立ちと学歴

1957年、兵庫県に生まれた樋口氏は、奈良県で育ちました。奈良市立の小中学校を経て奈良県立奈良高等学校に進学。大阪大学工学部電子工学科を卒業後、松下電器産業に入社しエンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。その後、米国IBMのスタッフとの出会いをきっかけに、ハーバード・ビジネス・スクール（ハーバード大学経営大学院）へ留学し、経営学修士（MBA）を取得しています。

転身と挑戦

MBA取得後、ボストンコンサルティンググループを経てApple Computer、コンパックコンピュータ（現日本ヒューレット・パッカード）とキャリアを重ね、2003年には日本ヒューレット・パッカードの社長に抜擢されます。2005年には、産業再生機構の支援を受けて再建中であったダイエーの社長に就任。しかし、同社を支援する丸紅との確執から、2006年に社長を退任しました。

2007年、マイクロソフト日本法人の代表執行役最高執行責任者（COO）に就任。翌年には、代表執行役社長 兼 米国本社コーポレートバイスプレジデントに就任し、日本マイクロソフトを率いました。2015年には代表執行役会長に就任し、2017年にパナソニックへ復帰するまでの間、マイクロソフトで重要な役割を果たしました。

パナソニックでの改革

2017年、パナソニックに専務役員として復帰した樋口氏は、コネクティッドソリューションズ社社長として、B2B事業の改革に着手します。本社を東京に移転し、フリーアドレスの導入や服装のカジュアル化、ICTのフル活用など、従来のパナソニックにはなかった企業文化を根付かせるための取り組みを推進。また、パナソニックのモノづくりの知見やノウハウを活かし、サプライチェーンを中心とした顧客の課題解決を目指す「現場プロセスイノベーション」を提唱し、事業強化を図りました。

サプライチェーンの自動化を目指し、2020年にはサプライチェーン専門ソフトウェア企業である米Blue Yonderへの出資を決定。2021年にはBlue Yonderを完全子会社化し、オートノマスサプライチェーンの実現に向けた取り組みを加速させています。

2022年4月、パナソニックの持株会社制移行に伴い、パナソニック コネクト株式会社が発足。樋口氏はその初代社長兼CEOに就任し、新たなスタートを切りました。

著書とメディア出演

樋口氏は、経営者としての経験や哲学を綴った著書も多数出版しています。『「愚直」論 私はこうして社長になった』、『変人力 人と組織を動かす次世代型リーダーの条件』、『マイクロソフトで学んだこと、マイクロソフトだからできること。』、『僕が「プロ経営者」になれた理由 変革のリーダーは「情熱×戦略」』、『パナソニック覚醒 愛着心と危機感が生む変革のマネジメント』など、その言葉は多くのビジネスパーソンに影響を与えています。また、テレビ東京の経済番組「カンブリア宮殿」にも出演し、パナソニックの改革について語りました。

まとめ

樋口泰行氏は、多様な業界での経験と、常に変革を求める姿勢で、企業を成長に導いてきたプロ経営者です。パナソニック コネクトにおいても、そのリーダーシップのもと、新たな価値創造が期待されています。

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