産業再生機構

株式会社産業再生機構の概要

株式会社産業再生機構（以下、産業再生機構）は、2003年4月16日に設立された日本の特殊会社です。この機構は、産業再生機構法に基づいて設立され、2007年6月5日に清算結了で消滅するまでの約4年間にわたり存在していました。特に金融再生プログラムの一環として機能し、スウェーデンのモデルを参考にして構築されました。

目的と役割

産業再生機構は、日本の産業の再生と信用秩序の維持を目指していました。主に、有用な経営資源を持つにもかかわらず、過剰な債務を抱える企業に対して、事業再生を支援することを目的とし、様々な業務を行っていました。債権の買取り、資金貸付、債務保証、出資などがその業務内容です。

再生支援の具体的なプロセスとしては、企業とその債権者である金融機関による共同申請が前提となり、選定された企業に対して金利減免や債務の一部免除といった措置を講じることが一般的でした。特に、設立から最初の2年間で金利減免された「要管理先」債権は、非主力銀行から割引価格で買い取られました。この後、主力銀行と協力しながら、デットエクイティスワップという手法で債務の株式化を進め、企業の再建を図りました。

支援対象と実績

同機構の活動期間中には、合計で41社に対して再生支援が実施されました。例えば、カネボウやダイエーなどが産業再生機構の支援を受けることを決定しました。カネボウは、化粧品事業の売却を取りやめ、同機構に再建を委ねました。また、ダイエーも取引銀行の要請を受けて機構による再建支援を選択しました。

主な事例

産業再生機構が支援した企業には次のような事例があります。まず、九州産業交通は本業の交通関連事業をHISグループに売却し、旧運輸部門はオリックス系の物流会社に引き継がれました。スカイネットアジア航空（現・ソラシドエア）は、主にANAの支援を受けて再建されました。また、ダイア建設はレオパレス21グループに、ミサワホームはトヨタ自動車と提携して事業再生を図りました。これらの支援により、多くの企業が再生に成功しました。

解散とLegacy

当初、産業再生機構は5年限定での活動を予定していましたが、支援の進捗により2007年3月15日に解散が決定され、清算会社に移行しました。清算過程において、約312億円を納税し、国庫に約432億円を分配したため、国民に対する負担は生じませんでした。職員は交代で民間出身者が多くを占めていましたが、公務員も少数在籍していました。

解散後、機構の関係者は新たに様々な事業再生に取り組む企業を設立し、多くが経営共創基盤やフロンティア・マネジメントといった新組織に携わり続けています。これにより、産業再生機構の活動は後世にも影響を与え、多くの企業が再生の道を歩む助けとなっています。

関連メディア

産業再生機構の取り組みはテレビ番組『日経スペシャル ガイアの夜明け』でも特集され、多くの視聴者にその活動が知られることとなりました。

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