樋口達哉

樋口達哉：福島の太陽、世界を照らすテノール歌手

樋口達哉は、1969年福島県二本松市に生まれた、日本を代表するテノール歌手の一人です。武蔵野音楽大学、同大学院を経てイタリア・ミラノへ留学。数々の国際的な声楽コンクールで入賞を果たし、その才能を開花させました。リッカルド・ムーティ指揮によるミラノ・スカラ座への出演を皮切りに、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界各国の主要な歌劇場やコンサートホールで活躍しています。

輝かしい経歴

ハンガリー国立歌劇場でのヨーロッパデビュー後、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場管弦楽団など、世界的に有名な劇場やオーケストラと共演。ボルドー歌劇場、パリ・マドレーヌ寺院など、歴史ある舞台でもその歌声を披露しました。2010年には、ミラノ大聖堂、サン・ピエトロ寺院という荘厳な空間で三枝成彰作曲の『レクイエム』を歌い上げ、聴衆を感動の渦に巻き込みました。

国内では、新国立劇場、二期会を中心に活動を展開。『トスカ』『蝶々夫人』『ファルスタッフ』など、数々の主要なオペラ作品に出演し、その存在感を示しています。二期会公演では、『ダフネ』以降、『仮面舞踏会』『エフゲニー・オネーギン』といった作品で主演を務め、ミシェル・プラッソンなどの著名な指揮者とも共演を果たしました。日本オペラの分野でも、『夕鶴』『黒船』などに出演し、日本の音楽文化の発展にも貢献しています。

コンサート活動も活発で、ベートーヴェン『第九』、『題名のない音楽会』、NHKニューイヤーオペラコンサートなどに出演。ヴィンチェンツォ・スカレーラをはじめとする著名な音楽家との共演も多数行っています。

人柄と音楽への情熱

「イタリアの太陽」というキャッチコピーは、音楽ライターの室田尚子が名付け親。「王子」の愛称で親しまれる人柄も、多くのファンを魅了する理由の一つでしょう。中学時代はバスケットボール部のキャプテンを務めるなど、スポーツにも親しんでいましたが、幼少の頃から音楽への関心も高く、エレクトーンを習ったり、ジャニーズのアイドルに憧れたりしていました。高校時代に本格的に声楽を始め、音楽の道を志すことを決意。大学卒業後は音楽教師として地元に戻るという約束で両親を説得し、武蔵野音楽大学へ進学しました。

大学時代の恩師の影響でイタリア・オペラに傾倒し、その本場であるイタリアへの留学を決意。留学資金を貯めるために様々なアルバイトを経験し、スカラ座の合唱団員オーディションに合格。その後、ソリストとしての道を追求するために帰国し、数々の舞台で主役を演じるようになりました。ブダペスト国際オペラコンクール入賞をきっかけにヨーロッパデビューを果たし、現在に至るまで、国内外の舞台で活躍を続けています。

幅広い活動と今後の展望

樋口達哉は、オペラ歌手としての活動に加え、男声ユニット『ザ・ジェイド』のメンバーとしても活動。武蔵野音楽大学、東京芸術大学で後進の指導にもあたっています。2018年からは、出身地である二本松市の観光大使も務めており、地域文化の振興にも貢献しています。その才能と情熱をもって、今後ますます幅広い分野での活躍が期待されています。

主な受賞歴

1997年1月 サンレモ国際声楽コンクール（イタリア）特別賞
1998年5月 ロータリー国際声楽コンクール（イタリア）第4位
1998年6月 エンリーコ・カルーソー国際声楽コンクール（ミラノ）最高位
1998年8月 東京国際声楽コンペティション 第2位
* 1998年9月 ブダペスト国際オペラコンクール（ハンガリー）第3位

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