マドレーヌ寺院

マドレーヌ寺院：歴史と芸術が織りなすパリの聖堂

マドレーヌ寺院は、パリ8区に位置するカトリック教会で、聖女マドレーヌ（マグダラのマリア）を守護聖人としています。その特異な外観から「マドレーヌ教会」とも呼ばれますが、正式名称は「サント・マリー・マドレーヌ聖堂」です。この教会は、その歴史と建築様式、そして内部に収められた芸術作品によって、パリの重要なランドマークの一つとなっています。

建設の歴史

マドレーヌ寺院の建設は、ブルボン朝末期の1764年にルイ15世によって始まりました。当初は聖女マドレーヌに捧げる教会として計画されましたが、工事は中断を繰り返します。1777年に再び工事が始まったものの、フランス革命の勃発により基礎工事半ばで再び中断。その後、ナポレオン1世がこの場所をフランス軍の栄光を讃える神殿とすることを決定し、1805年に建築家ピエール・ヴィーニョンに古代神殿風のデザインを依頼しました。工事は1806年に再開されましたが、ナポレオンの失脚後、ルイ18世によって教会としての用途に戻され、1842年にようやく完成しました。

建築様式

マドレーヌ寺院の外観は、キリスト教の教会としては異例とも言える特徴的なものです。コリント式の高さ30mの柱が52本も並び、古代ギリシャ・ローマの神殿を模した新古典主義建築（ネオ・クラシック様式）となっています。内部は、コリント式の大円柱が連続し、ペンデンティブドームの天井を支える構造です。正面のペディメントには、アンリ・ルメール作の「最後の審判」の彫刻が飾られ、銅の扉にはアンリ・ド・トリケティによる「十戒」をテーマにしたレリーフが施されています。

内部の美術作品

寺院内部には、数々の美術作品が所蔵されています。右側にはジェームス・プラディエ作の『聖母マリアの婚礼』像、左側にはフランソワ・リュード作の『キリストの洗礼』像が安置されています。主祭壇は、カルロ・マロケッティらによる『聖マグダラのマリアの歓喜』像で飾られています。

また、建物内には「サル・ロワイヤル（王室の間）」と呼ばれる部屋があり、現在は美術展などのイベントに使用されています。さらに、ランチのみ営業のレストラン「FOYER DE LA MADELEINE」が併設されており、横から入ることができます。

パイプオルガン

アリスティッド・カヴァイエ＝コルによって建造されたパイプオルガンは1849年に設置され、現在のものは1923年に修復を受けたものです。歴代のオルガン奏者には、著名な演奏家や作曲家が名を連ねています。特にガブリエル・フォーレが「レクイエム」の初演を行ったことで知られています。

歴代オルガン奏者

マドレーヌ寺院の歴史を彩るオルガン奏者たちは以下の通りです。

シャルル＝アレクサンドル・フェシー (1842-1846)
ルイ・ジェームズ・アルフレッド・ルフェビュール＝ヴェリー (1847-1858)
カミーユ・サン＝サーンス (1858-1877)
テオドール・デュボワ (1877-1896)
ガブリエル・フォーレ (1896-1905)
アンリ・ダリエ (1905-1934)
エドゥアール・ミニャン (1935-1962)
ジャンヌ・ドゥメシュ (1962-1968)
オディール・ピエール (1969-1979)
フランソワ・アンリ・ウバール (1979- )

マドレーヌ寺院は、その建築的な美しさだけでなく、歴史と芸術が融合した場所として、多くの人々を魅了し続けています。

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