樋口雅兼

樋口雅兼（ひぐち まさかね）

樋口雅兼は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将、大名です。豊臣秀吉の家臣として仕え、その生涯は戦国時代の終焉と江戸時代の幕開けという激動の時代を映し出しています。諱は政武とも記されます。

生涯

樋口雅兼は、伯耆国海池村の出身です。天正5年（1577年）頃、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）の中国攻めに際して秀吉に臣従し、翌天正6年（1578年）には秀吉から100石を与えられました。

天正7年（1579年）の三木城攻めでは、秀吉の弟である羽柴秀長に属して戦い、敵将の別所治定を討ち取るという大きな武功を挙げました。この功績により、秀長からさらに100石が与えられ、その後の天正11年（1583年）8月16日には、近江国（現在の滋賀県）の神崎郡、蒲生郡、野洲郡のうち17,000石を加増され、大名としての地位を確立しました。

しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いにおいて、樋口雅兼は西軍に与したため、戦後に所領を没収され、牢人（浪人）となってしまいました。その後、大坂の陣では、豊臣家のために船奉行として活躍し、木津川口の戦いでは蜂須賀至鎮の水軍を迎え撃ちました。しかし、大坂城は落城し、豊臣家は滅亡しました。

大坂落城後は、樋口雅兼は堀尾忠晴に身を寄せ、その庇護のもとで生活しました。元和5年（1619年）に、その波乱に満ちた生涯を閉じました。

樋口雅兼は、戦国時代の終焉から江戸時代の始まりという大きな時代の転換期を生きた人物であり、豊臣家のために戦い続けたその生涯は、武士としての忠義と激動の時代を象徴するものです。

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