権現山古墳群 (ふじみ野市)

権現山古墳群について

権現山古墳群は、埼玉県ふじみ野市滝1丁目に位置する古墳時代初頭に築かれた複数の古墳から成る重要な遺跡です。この古墳群には、前方後方墳として知られる権現山2号墳が含まれており、この墳丘は市指定の史跡に指定されています。また、2号墳をはじめとする計6基の古墳も埼玉県の史跡として認定されています。

古墳の概要とその背景

権現山古墳群には、1基の前方後方墳と複数の方墳が存在し、その中でも権現山2号墳の存在が特に注目されています。この名称の由来には、徳川家康がかつてこの地で鷹狩りを行った際、2号墳の上で休息をとったという伝説があります。そのため、歴史的な価値が高く、1963年には江戸時代の史跡として市の指定を受けることとなりました。

さらに、1985年以降の試掘と発掘調査によって、2号墳は古墳時代前期の3世紀末から4世紀初頭にかけてのものであることが特定されました。全長32メートルを持ち、後方部は20メートル四方の正方形に近く、前方部は低く、接合部分も細い撥形を呈しており、初期古墳の特徴を示しています。周囲には11基の方墳が設けられ、新河岸川を見下ろす条件で台地を形成しています。

重要な考古資料

埼玉県内において、初期古墳の前年方後方墳で墳丘が残るものは非常に少なく、権現山古墳群はその貴重な資料です。他には鷺山古墳や熊谷市の塩古墳群などもありますが、権現山古墳群はそれらの古墳よりもさらに古い年代に位置づけられているため、特に注目されています。

2002年には埼玉県の史跡に指定され、その後「歴史の森公園」として整備が進められ、2010年には市所有地の一部が一般に開放されました。

出土物の重要性

権現山古墳群から出土した土師器などの出土物もまた、古墳の価値を高める要素です。特に注目されるのは、前方後方墳から出土した壺形の底部穿孔土器です。これは焼成後に故意に底部に孔をあけたもので、古墳時代の葬送儀礼における重要な証拠とされています。当初は底部に孔を開ける技術が未発達だったことを示しており、埴輪（壺形埴輪）への発展段階を物語る重要な資料として評価されています。

このように、権現山古墳群は古墳研究において非常に貴重な存在であり、その調査・研究は今後も重要なお題となるでしょう。個々の古墳や出土品には歴史的、文化的な深い意義があり、私たちの先祖の生活や信仰、葬送文化を知る手がかりとなります。

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