撥

撥とは

撥（ばち）とは、弦楽器において弦を弾いたり、引っ掛けたりするために使用される棒状の道具です。この撥は、打楽器用の棒である桴（ばち、または枹）とは異なります。両者は同じ漢字を用いていますが、音や意味が異なるため、混同しないようにすることが重要です。

撥の種類

「バチ」という言葉は、引っ掛けて弦を演奏する楽器と、打つ楽器の両方に適用できます。以下では、弦を引っ掛けるための撥と打楽器用の道具について詳しく述べていきます。

引っ掛けて演奏する道具

1. 撥・棙
三味線や琵琶などの撥弦楽器で使用されます。三味線の撥は琵琶の撥（棙）を流用していると言われており、特徴的には銀杏の葉の形をしています。撥の素材は木や水牛の角、象牙、プラスチック、鼈甲などが使われ、三味線の撥は演奏スタイルに応じて多様な形状やサイズに変化しています。

2. 爪
箏や三線などの楽器では、指先に装着して使う道具です。爪を用いることで、より精密な音を奏でることが可能です。

3. 義甲
大正琴を演奏する際に使われるこの道具は、ピックとも呼ばれ、音の生産に特化しています。

4. ピック (pick)
ギター演奏に用いる小さな板状の道具で、手で持ったり、フィンガーピック・サムピックのように指に装着したりします。

5. プレクトラム (plectrum)
チェンバロの内部に組み込まれ、弦を弾くために使用される道具です。イギリス英語ではピックを示す用語として使われます。

打って演奏する道具

1. 撥、ハンマー、メズラブ
揚琴やダルシマー、サントゥールなどの打弦楽器では、弦を叩いて演奏します。ここでのハンマーは、ピアノの中に組み込まれており、フェルトで覆われた表面を持っています。

膜や体を叩く道具

1. 桴・枹
和太鼓や銅鑼のような打楽器で使用される道具で、特に太く、打楽器に適した形状を持っています。楽器によっては先端が太く球状であったり、金槌のような形をしているものもあります。主に木材が素材として用いられます。

2. スティック (drum stick)
スネアドラムやドラムセットの演奏において使用され、先端が細くなった形状が特徴です。細くなった先端が球状またはドングリ状に膨らんでいることがよくあります。

3. ビーター (Beater)
バスドラムや銅鑼、トライアングルの演奏に用いられる道具です。特にバスドラムでは、先端に球状のフェルトが付けられているものが一般的です。

4. マレット (mallet)
鍵盤打楽器やティンパニなどの演奏で使われ、先端にフェルトや毛糸が巻かれた球状の形状が多く見られます。

5. ハンマー (hammer)
チューブラーベルなどの楽器に使われる道具で、木や樹脂で作られた頭部があります。

6. 撞[木]
梵鐘を撞く際や摺鉦を叩く際に使用される道具で、T字型の形状をしています。特に大型のものは丸太を吊り、持ち手を縄にすることがあります。

まとめ

撥はさまざまな種類があり、弦楽器から打楽器にまで幅広く使用されています。これらの道具はそれぞれの楽器に特化した設計が施されており、演奏者はその特性を最大限活かして美しい音楽を奏でることが可能です。音楽の世界において、撥とその関連道具の役割は非常に重要です。

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