権順天

権 順天（クォン スンチュン、朝: 권순천）は、1959年4月24日に大韓民国のソウルで生まれた元プロボクサーです。初代IBF世界フライ級王者として、その名を歴史に刻みました。

彼のプロキャリアは1977年10月16日に始まり、デビュー戦では2回KO勝利を収め、幸先の良いスタートを切りました。しかし、1979年8月11日には崔景權との対戦で、キャリア初の敗戦となる4回判定負けを経験します。その後もリングに上がり続け、楊麗麗戦での2回KO勝ちや藤間嗣幸戦での初回失格負けなど、様々な結果を積み重ねていきました。

キャリアの転機となったのは1981年10月17日。この日、権順天はOPBF東洋太平洋スーパーフライ級王者であったウィリアム・デベロスに挑み、12回判定の末に勝利。見事、OPBF王座を獲得しました。

OPBF王者として、彼はその後5度にわたる防衛に成功します。1982年3月7日にはアリ・フォルメンテラを6回KOで退け初防衛。同年5月8日には、後にWBC世界スーパーフライ級王者となるパヤオ・プーンタラットを相手に12回判定勝ちを収め2度目の防衛を果たしました。ノンタイトル戦を挟み、1982年9月19日にはジョー・ヒヤースに7回負傷判定で勝利し防衛3。さらに1983年1月2日、プハクタイ・リポヴィタンを初回わずか40秒でKOし防衛4、同年5月14日にはパット・ブラセコを2回KOで下し防衛5と、強さを見せつけました。しかし、5度目の防衛を終えた後、OPBF王座を返上し、1983年10月6日には大阪府立体育会館でWBA世界スーパーフライ級王者、渡辺二郎との世界タイトルマッチに挑戦します。激しい戦いとなりましたが、11回終了時の負傷判定で0-3の判定負けを喫し、WBA王座獲得はなりませんでした。

世界王座初挑戦での敗退後、権順天は階級をフライ級に下げます。そして1983年12月24日、新設されたIBF世界フライ級の初代王座決定戦でレネ・ブサヨンと対戦。この試合で5回2分48秒KO勝ちを収め、見事IBF世界フライ級の初代王者となりました。

IBF王者としても、彼は輝かしい防衛ロードを歩みます。初代王座を獲得してからの防衛回数は、記録上では6度に及びます。1984年2月25日のロジャー・カスティーヨ戦（12回負傷判定）、同年5月19日のイアン・クレイディ戦（15回判定）で防衛を重ねました。1984年9月7日にはジョアクイン・フローレス・カラバイロを12回KOで下して防衛3としましたが、この試合の相手は本来の挑戦者の名を偽った「替え玉」であったと後に報じられ、大きな波紋を呼びました。

1985年に入ると、後に3度対戦することになる難敵、鄭鐘寛との初対戦を迎えます。同年1月25日の試合は15回判定で1-1の引き分けに終わり、規定により権順天が4度目の防衛に成功しました。その後も同年4月15日に川島志伸を3回KOで下し防衛5と記録を伸ばしますが、続く1985年7月17日、再び鄭鐘寛と対戦。この試合も15回判定1-1の引き分けとなり、6度目の防衛に成功します。しかし、同年12月20日に行われた鄭鐘寛との3度目の対戦では、4回1分15秒TKO負けを喫し、7度目の防衛に失敗。IBF世界フライ級王座から陥落しました。

王座陥落後も現役を続行した権順天は、1986年12月3日にリトル・ホームスにKO勝ちするなど再起を図ります。そして1987年5月17日、IBF世界スーパーフライ級王座が空位となったため、韓国・釜山市で張太日との王座決定戦に挑み、2階級制覇を目指しました。しかし、15回判定の結果は1-2で権順天の敗北。この試合が彼の現役最後のリングとなり、惜しまれつつ引退しました。

彼のプロボクサーとしての獲得タイトルは以下の通りです。

第3代OPBF東洋太平洋スーパーフライ級王座（防衛5=返上）
IBF世界フライ級王座（防衛6）

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