横井美保子

横井 美保子の生涯

横井 美保子（よこい みほこ）は、1927年12月に東京都で生まれ、2022年5月27日に94歳で亡くなった、日本の女性として特異な人生を歩んだ人物です。彼女は、元大日本帝国陸軍軍人の横井庄一の妻であり、後に横井庄一記念館の館長としてその夫の功績を継承しました。旧姓は幡新（はたしん）で、鳥取県の米子高等女学校を卒業後、京都に移り住みました。ここで兄の家で家事を手伝いながら、日常生活を送っていました。

縁と結婚

美保子と庄一の出会いは、1972年のことです。この年の初め、庄一は約28年にわたる潜伏生活を終えたばかりで、世間からの注目と疑念にさらされていました。彼女は、その年の夏、親しい友人の紹介で名古屋で見合いを行い、意気投合しました。庄一が57歳、美保子が44歳という年齢差がありましたが、互いの信頼を深め、その日のうちに結婚が決まりました。11月には熱田神宮にて結婚式を挙げ、その後名古屋市内に新居を構えて生活を開始しました。

夫を支える

美保子は、結婚後も多忙な庄一を支える存在として、さまざまなサポートを行いました。彼女は、庄一の講演やメディア出演に同行し、スケジュール管理や秘書業務をこなすと同時に、戦前とは異なる時代の経済状況における財産管理なども携わりました。このようなサポートがあったからこそ、庄一は多くの人々にその体験や知見を伝えることができました。

記念館の設立

庄一が1997年に82歳で亡くなった後も、美保子は彼の事績を継承するために活動を続けました。2006年には、二人が共に過ごした名古屋市中川区の自宅に「横井庄一記念館」を開設しました。この記念館では、庄一による機織り機の再現、潜伏生活中の洞穴の模型、そして彼が焼いた陶器など、約50点の展示物が来訪者に公開され、毎週日曜日には無料公開を行っていました。

しかし、2020年4月、新型コロナウイルスの影響により、美保子は実家のある京都市へ移り、記念館は休館となりました。

美保子の死

2022年5月27日、美保子は脳出血のために京都市内の病院で亡くなりました。命の灯が消えた瞬間、彼女は94歳という長い生を終えました。美保子の死去に伴い、横井庄一記念館も同年の9月3日をもって閉館する運びとなりました。彼女の人生は、単なる一人の妻としてだけでなく、戦争を通じて得た知恵や教訓を広めるための活動を通して、今なお多くの人々に影響を与えています。

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